ここは神戸の街を見下ろす坂の上の小さな洋裁店。2代目店主の南市江(中谷美紀)は、古い足踏みミシンと手仕事で、顧客に品質第一で一生着ることができる洋服を作っている。そんな市江の洋服が評判になり、有名デパートからネットショップで広く注文を受けないかとオファーがある。
その話に「お顔の見えない方の洋服は作りません」と断ってしまう。彼女の美しさとは裏腹に業界では「頑固じじぃ」と呼ばれていた。
凛とした中谷さんの佇まいが素敵
文藝春秋で「今では使われていない言葉」の連載があって、毎月楽しみにしている。「繕う」も「裁つ」も今ではあまり使わない言葉だと思う。
市江の洋服は着る人の加齢や体型に合わせ作り直して、長く使い続ける大切さを教えてくれる。そんな彼女の元に、断わられても断わられても日参する神戸のデパート社員・藤井(三浦貴大)の生き方を変えていく展開もいい。
クラシックな店内の佇まい、人肌の温もりがある布地、吟味された仕立て道具の数々・・・。市江の日常にあるものは、燻し銀のように静かな輝きを放っていて、豊かで落ち着いた気分にしてくれる。
脇には、片桐はいり、黒木華、杉咲花、中尾ミエ、伊武雅刀、余貴美子と個性的な俳優さんたちが勢ぞろいしている。