2014年12月17日

名もなき英雄の物語 1月17日公開 『ジミー、野を駆ける伝説』

カチンコ『ジミー、野を駆ける伝説』ケン・ローチ監督/イギリス、アイルランド、フランス/109分/原題:JIMMY'S HALL /1月17日より新宿ピカデリー他にて全国ロードショー公開/http://www.jimmy-densetsu.jp/

1932年、アイルランドを分断した悲劇的な内戦が終わって10年。アメリカで暮らしていた元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)は10年ぶりに祖国のリートリム州の故郷に帰って来た。

彼は年老いた母親アリス(アイリーン・ヘンリー)と農作業をしながら穏やかに暮そうと帰ってきたのだ。彼は以前、地域の若手リーダーとして絶大な信頼があったので仲間たちは喜び、今は結婚して子どももある昔の恋人ウーナ(シモーヌ・カービー)とも、笑顔で再会が出来た。

そんなある日、村の若者たちの強い要望もあって、ジミーが昔、建設したホール(集会所)を再開することになった。そこは村人が芸術やダンスをして、詩歌、文学を学び、人生を語り合う場所になったが・・・。

土くれの匂いのする村人たちの「知」に対する情熱が伝わってくる作品だった。ホールは今で言う文化教室みたいなところで、自分のお得意な分野を教えあい、お互いを高めあっていた。

中心になるのはやはりアメリカ帰りのジミーで、政治的なねらいなどはなかったが、教会や村の政治家たちは快く思わず、それがきっかけとなって村は二分され険悪な状態になってしまう。歴史的に、国民どうしの争いは傷が深いし、忘れたふりで過ごしていても、何かのきっかけで再燃することが多い。この地でも同じだった。

ケン・ローチ監督は、撮影地をこのアイルランドのリートリムに決めて、元々あったところにホールを建設し、地元の方々の協力を得て製作。特にジミーの母親役(素直な演技の中に大女優の風格があった!)の方はリートリムに住む演技経験のない女性。

※ジミーは実在した方で、一生農夫や労働者として生き、アメリカ、カナダ、カルカッタに滞在したこともある人物(1886年に生まれ、1933年にアメリカに国外追放になってからは二度と帰国できなかった。1945年死去)。
posted by ミッキー at 21:10| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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