舞台はモスクワ。元看護師のエレナ(ナジェジダ・マルキナ)は、資産家ウラジミル(アンドレイ・スミルノフ)と再婚し、高級マンションで何不自由のない生活を送っている。が、内実は家政婦とあまりかわらない。
中年で再婚した二人には別居しているが、それぞれ連れ子がいる。エレナの息子は妻子がありながら経済力がなく、絶えず母親に金をせびりにくる。エレナは夫の顔色をうかがいながらも生活費を工面している。
しかし、夫の急病によってそんな日常は一変する。死期を悟った夫は「明日、遺言を作成する。やはり娘に・・・」という。
3年前にシドニーで観た作品。
こんなに見事な心理描写の作品なら、いつかきっと渋谷の劇場でレイトショーぐらいで上映されると待っていたが、全国順次ロードショー公開になって嬉しい。
ロシア語で確か英語字幕でみたが、わからんなりにも「お母様、そんなに息子夫婦、お孫ちゃんを甘やかしていいの?」と心配になった。
私なら家屋敷や現金より「年金」が貰えればルンルン。
一方の実の娘は不良だけど「欲」はなく、さっぱりしたものだった。こちらのほうが幸せになるんじゃないかと感じた。ウラジミルをめぐる女2人の悲しげな表情は同じだが、内面はえらい違いだ。窓からの風景が寒々としていた。