1959年9月26日、伊勢湾台風(台風の名はヴェラ)が和歌山県の潮岬に上陸して、紀伊半島から東海地方に甚大な被害をもたらした。5000人以上の方がお亡くなりになった。
このドキュメンタリーは観逃したくなかった。もう55年前か・・・と感慨深い。劇場は70代以上の方々が多く、お孫さん連れも多かった。
私は中学1年で「大変な台風だった」という記憶と、通っていた名古屋の中学に孤児になった生徒がクラスに入ってきたことを覚えている。(とっても頭のいい子で、すぐあった試験で社会のテストがクラス一番だった。でも2週間くらいでいつの間にかいなくなってしまった)
昭和区の家には一キロくらい離れたうどんやの看板が飛んできていて、書いてある電話番号にかけたこともあった。
いつもぼんやりしてちょっと「とろい子」だったけど、この台風の記憶は鮮明に残っている。
この映画を観て、この台風が「戦後、世界で最初の大災害だった」ことや、ちゃんと「ヴェラ」という名前がついていたこと、そしてアメリカの女優さん・シャリー・マクレーンさんが被災地一帯の小中学校に50台のピアノを贈っていたこと・・・。 ボランティアという言葉もなかったこの時代に、高校生らが救助や復興にはせ参じたことも、貴重な記録映像となっていた。
インタビューに登場された方々は70歳を過ぎている。方言はあっても美しい日本語で話されていた。この人生を分けた「伊勢湾台風」の記憶の前で、真摯な気持ちがそうさせるのかと感じた。
※劇場のロビーで数人の年配の方が目を真っ赤にして佇んでいた。