
メキシコの第2の都市・グアダラハラ。恋人も友人もいない孤独なクラウディア(ヒメナ・アヤラ)は盲腸になり入院した。その病院で偶然同室になった4人の子を持つシングルマザーのマルタ(リサ・オーウェン)と出会う。
マルタは暗い影を落とすクラウディアに「家まで送るわ」と車に乗せ、ついでに「内で食事しない?」と自宅に連れて行く。子どもたちは4人とも個性的だが、マルタは適度に自由にさせている。クラウディアにも我が子と同じように接してくる。そんなマルタに戸惑いながら、徐々にクラウディアは家族に溶け込んでいく。
精一杯生きようとするマルタと愛の真髄を知ることになるクラウディア
これを観た後は「誰とも口をきかずにゆっくり歩いて帰りたい」という心境になった。
マルタはエイズで死んでしまった夫から、その病を貰い入退院を繰り返していたのだ。そんな状態でも4人の子を前であんなに毅然とした態度をとるなど、ミッキーには出来ない。
マルタがやっておきたいことは慎ましいものだ。
・家に帰って子どもたちに料理をする。
・家族揃って食事をする。
・クラウディアを家族の一員にする。
・家族で海に行く
・子どもたちに手紙を書く・・・
この最後に出る手紙、今思い出しても涙が出る。なんてことない日常の注意だ。でも毎日するこれらのことは、この子たちが一生する際に「母の言葉」を思い出すのだろうと思うと、また涙が出てしまう。
死をこんなに温かく見つめた作品は、若い女性監督さんが自身の経験を基に作られ、次女の方はこの4人の子の中のひとりを起用している。