
ニューヨークのブルックリンで、モダンダンサーとして大舞台を夢見ている27歳のフランシス(グレタ・ガーウィグ)。実力のほどは代役ぐらいで正式な団員にもなっていない。親友のソフィ(ミッキー・サムナー/スティングの娘)とルームシェアをしている。
貧しいながらも楽しい日々を送っていたが、フランシスは恋人と別れ、親友ソフィも他の友人と同居したために住むところがなくなってしまう。
『イカとクジラ』の監督さんだ。
何年か前の手描きの日記を見ると「痛い部分もあるが、結末の描き方が素晴らしい」と書いてあった。どんな作品か是非もう一度と、やっと探し当ててDVDを見た。
舞台は同じニューヨーク(1986年)。主人公一家は夫婦共々小説家。しかし有名な妻(ローラ・リニー)と、スランプからなかなか抜け出せない夫(ジェフ・ダニエルズ)は離婚することになる。
お父さん子の長男ウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)、母親べったりの弟フランク(オーウェン・クライン)は複雑な気持ちを抱えながら理解していくストーリー。
『フランシス・ハ』にも痛さがある。27歳で才能もなく(カンパニーの団員になれず、「あきらめて事務をやらないか」と言われる・・・

でも、27歳でこうなったことは「良かった」と思う。これが30、40歳に経験しては、それこそ痛い。ニューヨークの街には希望や野望が渦巻いたところらしいが、それを無くしかけたり諦めたりした人にとってどんな救いや優しさが潜んでいるのだろうか・・・その答えがこの作品にあると思った。
※家に帰って試写でいただいた資料を見るまで「モノクロ」とは知らずにいた。鮮やかに感じとった色合いはなんだったのだろう。