2014年06月18日

30年の年月を経て 『朽ちた手押し車』

カチンコ『朽ちた手押し車』島宏監督/134分/1984年/7月5日より名古屋名演小劇場にて公開/http://k-tg.net/

昭和57年の春。新潟県の親不知海岸。元漁師の安田源吾(三國連太郎)は、だらしのない格好で小便をたれ流し海岸を徘徊していた。老人特有のボケがはじまっていたのだ。食欲も旺盛で5杯も6杯もおかわりする有様だ。

同居する長男(田村高廣)の嫁(長山藍子)は心配するが、源吾の妻(初井言栄)は「ご飯くらいうんと食べさせろ。この家の物はかまどの灰までじっちゃんのものだ」と茶碗にてんこ盛りにする。それでも家族はいがみ合うこともなく「歳とれば普通のこと」と過ごしていた。

そんなある日、源吾の妻が不治の病と診断される。よく持って1年ぐらいと言われる。ボケた父と不治の病の母を抱え、長男夫婦に安らぎはなかった。

新潟県の漁村を舞台に、痴呆と安楽死を描く社会派ドラマ。2013年の9月に広島県で開催された「お蔵出し映画祭」で上映され作品。

三國連太郎の入魂の演技に感服した。撮影当時はまだ61歳、一方の妻の初井言栄さんはもう少し若いと思うが、80歳代の老人を実にリアルに演じていた。

漁村の風景も、町並み、日本の古いしきたり(葬式や祭の場面)もじんわりと描かれていた。カメラも美しいという撮り方ではなく、現実の重苦しさのようなものが漂っていて圧倒された。まるでこの家族同様の切実さや深刻さを突きつけるような映像だった。

すべてにおいて「過剰」なリアリティが受け付けられなかった時代が「お蔵入り」する理由かとも思う一方、だから「今」かというと、そうも言い切れないような気がする。

ミッキーおばぁの年代なら理解できても、家族の形態も考え方も大きく違った「今」、若い人たちがどういう反応を示すか・・・それが一番知りたいところだ。

※手押し車は乳母車の上を取ったものだろうか?もし乳母車だったら親の哀れさが身にしみる。
※船べりで立ちションをしていて、ボケた源吾に叱られていた男はたこ八郎さんだった。








posted by ミッキー at 23:22| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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