
やっと今日、この作品が観られた。倍賞千恵子さん主演映画としか頭になかったが、主役の吉流が『スプリング・フィーバー』のチン・ハオさんだった。
数年前にインタビューのお供をしたことがあり、それを思い出して

中国国内で「囲碁の鬼才」と言われていた吉流(チン・ハオ)は、もっと腕をあげるために日本に来たが、仕事も思うようになく、囲碁もうてず

そんなある日、人とぶつかってしまい、大切な碁石を道にばら撒いてしまった。それをたまたま傍にいた親切な老婦人・五十嵐(倍賞千恵子)が丁寧に拾ってくれて「なかなか年季の入ったものだね」という。
野菜の行商をしている彼女のなりはみすぼらしいが、日本語があまりわからない吉流にも、凛とした姿勢や言葉使いに親しみを感じるのだった。
彼女も吉流の生真面目さを見抜き、カプセルホテルの雑役係りの仕事を紹介する。
東京と五十嵐婦人の住む千葉がとても対照的な景色で楽しませてくれた。
都会と田舎、日本人と中国人、真面目な男と道を踏み外した男・・・この双方には相容れない距離感があるはずなのに、この作品の中でそれらが自然の流れの中で「融合している」ところが見事だった。
いいものを観たなぁ・・・と温かい気持ちになった。