
1979年、カリフォルニア州・ウエストハリウッド。
歌手を夢みながらゲイバーでダンサーをしているルディ(アラン・カミング)は、はじめてきた客・弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)と出会う。
2人は惹かれ合い、瞬く間に

ルディが暮らす古アパートの隣にダウン症の男の子マルコ(アイザック・レイヴァ)と薬物依存症の母親が住んでいたが、その母親が大音量の音楽をかけたまま、ドアも閉めないで男といなくなってしまった。
ルディが騒音を注意しようと怒鳴り込むと、小さくうずくまっているマルコがいた。
ルディは知り合って間もないポールに「こんな場合、どうしたらいいか」を教えてもらおうとマルコを連れて訪ねていくが、ポールは「家庭局に連絡して施設に預けなさい」と言う。
その言葉にがっかりしてアパートに帰ると、マルコの母親は薬物所持で逮捕されて刑期が終了するまで帰宅できないことが分かった。マルコはお気に入りの人形を抱いたまま、強制的に施設に連れて行かれてしまった。
哀しさをずっと引きずってしまう作品だ。それを軽くしてくれたのはルディの歌だった。
35年ほど前に実際に起きたことを元に描かれている。
ポールとルディのゲイの関係や、ダウン症の男の子の話になっていて、世間から受ける差別、裁判の場での差別が絡み合って進んでいく。
こんなに重くて険しい話じゃなくても、今の世間からいろいろ差別を受けている方はたくさんいる。
そんな一人ひとりにポールとルディの「これは差別なのよ」「違う。差別じゃない。現実なのよ」という言葉だけを記しておきたい。
マルコが大好きなチョコレートドーナツの穴から見えるのは差別だろうか、希望だろうか、それとも差別を無くそうとする入り口なのか・・・。
哀しみも感動も心に深く刻まれる作品だった。
※ルディ役のアラン・カミングさんのドラッグクィーン姿が◎
『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャレッド・レトさん、2012年大阪アジアン映画祭で上映されたインドネシアのテディ・ソエリアットマジャ監督作品『ラブリー・マン』の主演男優トニー・ダマラさんが今のところ私の三大女装俳優さんだ
