アメリカ南西部の砂漠地帯。そこは、かつて白人がネイティブ・アメリカンを迫害し奪いとった地で、核実験を繰り返されていた。今は無人の荒野がどこまでも広がっている。地の果てのような場所だ。
そこで車が故障して困っていたハリー(ジョナサン・プライス)とバフィー(ジュディ・デイヴィス)夫婦は、キラリと光るものを見つけ、掘っ立て小屋にやっとの思いでたどり着いた。
そこには、ネイティブ・アメリカンの血を引く青年ボーイ(リヴァー・フェニックス)が1人で住んでいた。
彼は妻を白血病で亡くしてから社会とのつながりを絶って暮らしていた。
ボーイは美しいバフィーを見て欲望を感じ、バフィーもボーイの純粋さに夫にはない魅力を感じ始めていた。
映画を観始めてから15年。リヴァー・フェニックスさんのことは知らなかった。
お亡くなりになってから20年。この『ダーク・ブラッド』のクランクアップ10日前に薬物の過剰摂取で急死したため、未完成のままになっていた作品。
2007年に大病を患ったジョルジュ・シュルイツァー監督は人生最後の作品として本作の完成を決意。
20年前のこの作品は妙に今に通じるものが見え隠れしている。人間の悪と善、狂気と正気、上辺の表情と真意、愛と憎しみ、軽蔑と憧れ、金満と極貧、そして目に見えない放射能の恐怖。
たった3人が荒野に捨て置かれたような設定だが、あれもない、これもないと慌てる夫婦と、物や金などはあっても無くてもいい、ほしいのは自分を温めてくれる肌だ、という想いが絡み合って悲劇に向っていく。
余韻が濃厚に残る作品だった。
※リヴァー・フェニックスの顔は完璧だ。目の周りには薄い筋肉のような張りがあって、この作品を観てからプレス資料の彼の写真を見つめ続けている。きっと公開あとにはファンが増えると思う。
※ホワキン・フェニックスさんのお兄様ということもこの映画を通じて教えてもらった。そして『セインツ 約束の果て』のケイシー・アフレックはホワキン・フェニックスの妹さんと結婚。