2025年01月09日

2024年 アニメ映画ベストテン(1位から3位あり、その他は順位なし)

1位『リンダはチキンがたべたい!』キアラ・マルタ、セバスチャン・ローデンバック監督、原案、脚本

フランスのとある郊外の古い公営団地に暮らす8歳の女の子リンダと母ポレット。

ある日、母の大切な指輪の件で、勘違いされてひどくで叱られてしまったリンダ。

だがそれは間違いで心から謝る母に「死んでしまったお父さんの得意料理「パプリカ・チキン」を食べたいとお願いするが、その日はストライキで、町ではどの店も休業していた。

チキンを求めてあっちこっち奔走する母は、最後の手段で養鶏場からニワトリを盗み出して…….。

だが、ニワトリ一羽のために、警察官、運転手、団地の住民たち、友だちを巻き込んでの、大騒動になってしまう。

観たのは吹き替え版。安藤サクラ、リリー・フランキーらの不満はなかったが、やっぱり字幕版にすべきだった。画像とフランス語、歌う部分の曲の作りがフランス的なのだったので、残念。

でもこの回はミッキー1人っきりで貸し切り。

セリフはユーモアたっぷりだが、ユーモアの中にも「毒」があって、これもフランス的かな?と思った。

アヌシー国際アニメーション映画祭2023の長編アニメーション部門で最高賞にあたるクリスタル賞に輝いたアニメ映画。

★監督賞


2位『イヌとイタリア人、お断り! 』アラン・ウゲット監督/フランス・イタリア・ベルギー・スイス・ポルトガル

20世紀の初め、ウゲット一家はイタリア北部のウゲッテーラに住んでいたが、この地の生活では将来が見通せないと思い、一家は外国で生活を立て直すことを決めた。

言い伝えによれば、ルイジ・ウゲット(監督の祖父)はアルプスの山々を超えてフランスで新しい生活を始め、一家の運命を変えた。そんなルイジの人生を孫である監督が振り返る。

監督は祖父と父から工作の技術を伝授されたこともあって、一家の物語を映画制作に取り入れている。今作では祖父の物語を通してイタリア移民の歴史を織り込んで描いている。

色合いも音楽も大仰な描写はないが、当時のフランスで受けた差別や生活の貧しさが克明に描かれていた。監督さんがお小さい時には、そこら中のお店に「イヌとイタリア人お断り」の張り紙があったらしく、意味を聞くと「ここの犬はイタリア人が好きで噛み付くからだよ」と教えてくれたと語ってくれた。

どんな苦労も乗り越えられたのは「家族の団結と愛情」の賜物だ。この作品が公開されることを強く願う。

★作品賞


3位『ラーメン赤猫』清水久敏監督

猫だけで経営する「ラーメン赤猫」にアルバイトの面接を受けようとで訪れた若い女性・珠子(声:折原くるみ)は、店長文蔵(声:津田健次郎)の質問に「猫よりも本当は犬が好きで……」と答えた正直さが気に入られて、即、採用された。

しかし、そんな彼女が与えられた仕事は「猫たちの毛繕いのお世話係」だった。

猫が経営するラーメン屋なんて、どんなのだろう。アニメにしかできない。雇われた人間の女の子は、猫たちの毛繕いをする仕事。

一匹一匹彼女のいる部屋に「今、いいですかー」といって入って来て「うーーん、気持ちいい、疲れが取れるー」と言って大満足している。みんなラーメンに毛が入らないようにすごく気を張って仕事している様子。

「今まで、どうしていたのですか」と彼女が聞くと、「今までは仲間同士でやってたけど、相手もきっと疲れているだろうとかタイミングが合わなかったりして、けっこう気を使っていたんだよ」と話している。

なるほど、猫には猫なりの事情があって納得。声の出演も文句なし!

★原作は、集英社の漫画アプリ「少年ジャンプ+」連載の人気漫画のテレビアニメ。「ラーメン赤猫」で働くことになった唯一の人間の珠子が、店員の猫たちと過ごす毎日を描いている。

★脚本賞

🎬『化け猫あんずちゃん』久野遥子、山下敦弘監督/日本、フランス

ある大雨の日、寺の住職が段ボール箱の中で鳴いている子猫を見つける。その猫を「あんず」と名付けて育てるが、不思議なことに20年が過ぎても30年経っも死なず、今では人間の言葉を話して人間のように暮らす「化け猫」となっていた。

現在37歳のあんずちゃんは、原付バイクに乗って移動し、マッサージ師のアルバイトをしている。ある日、親子ゲンカしたまま行方がわからなくなっていた住職の息子が、11歳の娘かりんを連れて寺に帰ってくる。

息子は金の無心ができないとわかると、かりんを残して出て行ってしまった。そこでかりんの世話を頼まれたあんずちゃんは、仕方なく面倒を見ることに……。


ユニークなアニメ❗️ちょっと硬くなった肉球でグイグイっとマッサージをお願いしたくなった。ご家族で楽しめること間違いなし❗️“

原作はいましろたかしの同名コミックを日仏合作で映画化し、アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門に出品された長編アニメーション。

森山未來が主人公あんずちゃんの声と「動き」を演じていて、山下監督を中心とする実写班が撮影した映像と音声をもとに、久野監督を中心とするスタッフが動きや表情をアニメーション化する「ロトスコープ」の方法を用いている。

★ 森山未來に声優賞


🎬『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』瀬藤健嗣監督

おしりたんてい事務所に、かつての相棒スイセン(声:仲里依紗)からのメッセージが届く。スイセンが勤めるハッタンタウンのメットー美術館をはじめ、各地の美術館で多数の絵画が贋作にすり替えられる事件が発生しており、スイセンの師であるキンモク先生(声:津田健次郎)が、事件を起こしている秘密結社に贋作づくりを強要されているという。

スイセンの依頼は秘密結社の陰謀を暴き、キンモク先生を救いたいというものだったが、スイセンの様子はおしりたんてい(三瓶由布子)が知るかつての彼女とは違和感をおぼえて、敵か味方かわからない部分があった。

それでも依頼を受けたおしりたんていは、秘密結社との戦いの中で深手を負ってしまう。

随分前におしり探偵の試写『映画 おしりたんてい シリアーティ』があったが題名がおしりなので観に行かなかった。今回はいつも行くマッサージの映画好きな人が面白いというので、今回は行ってみた。

始まりは子ども向けだったらしいが今作は小学生では理解できるか?と思ったが、始めて観たミッキーも楽しめた内容で、けっこう大人向きな作りだった。

キャラクター、色づかいが独特でキャラクターと声の「合わなさ」が「癖」になる不思議なアニメで、意外なオチもあって楽しませてくれた。

★キャラクター賞


🎬『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』マーティン・ローゼン監督、製作、脚本/イギリス

英国ハンプシャー州に、サンドルフォード繁殖地というウサギたちの巣穴があった。

ある日、ウサギの中で予知能力をもったファイバーが「もうすぐ怖いことが起こる」と不安げに告げる。ファイバーの兄ヘイズルは、ウサギたちの長に避難を提案したが聞いてもらえなかった。

そこでヘイズルたちは、何羽かのウサギたちとともにその地を脱出する。しかし、そんな彼らの前に、予想もしなかった世界が待ち受けていた。

出てくるのはほとんどがうさぎで次に鳥、後はイヌ、ネコ、ネズミが少し出てくる。

でも描かれていることは「人間の世界」に酷似していた。40年前の作品だが平和を訴える力のあるアニメだった。

★1973年にカーネギー賞とガーディアン賞を受賞したイギリスの作家リチャード・アダムスによる名作児童文学をアニメーション化。


🎬『ロボット・ドリームズ』パブロ・ベルヘル監督、制作、脚本/スペイン、フランス

ニューヨークのマンハッタンに住み、深い孤独を抱えるドッグは自分の友人にするためにロボット一式を買い、組み立てて作り、友情を深めていき、楽しい日を送っていた。

夏になってドッグとロボットは海水浴へ出かけるが、ロボットが塩水で錆びついて動けなくなってしまう。どうにかロボットを修理しようと焦るドッグだったが、いろいろ助けるために右往左往するが、どれもうまく行かず、海水浴場にロボットを置いたままシーズンオフで閉鎖され、2人は離ればなれになってしまう。

セリフやナレーションがないので犬とロボットの表情が頼りだがいつのまにか頭の中でセリフが浮かんできた。

ニューヨークの四季の移り変わり、切なくも温かみのあるストーリーが心に響いた。

★アニメ背景賞


🎬『がんばっていきまっしょい』櫻木優平監督、脚本

美しい海、山の自然が広がる愛媛県松山市。三津東高校2年生の村上悦子(声:雨宮天)は、やりたいことも見つからず退屈な日々を過ごしていた。

そんなある日、彼女のクラスに転校生の梨衣奈(声:高橋李依)がやって来る。悦子と幼なじみで親友の姫(声:伊藤美来)は「ボート部に入りたい」と言う梨衣奈の願いに巻き込まれて、廃部となったボート部を復活させることになった。悦子は仕方なく名前だけ貸すと承諾したが…


女子ボート部が舞台になっているアニメ。お年寄りが選んで観る映画ではないのはわかっているが、ミッキーはとっても楽しめた。

キャラクターの絵柄が好み、言葉が今風だがきれいで丁寧、表情が可愛い。みんな高校3年でかなりレベルの高い高校なのに受験、成績の話はない。

でも、ボート競技を通じて「心を一つにしないと勝てない」のセリフにハッとした。この部活経験はきっとその後の生き方にプラスになると思う。

人生において「心を一つに」する出来事はどんだけあるかは人それぞれだが、そう簡単ではないということも教えてもらった

 
🎬『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』黒川智之

3年前の8月31日。突然、巨大な宇宙船が東京を襲来し、世界の終わりとなるかに見えたが、その後、絶望的な状況が続く中、日常に溶け込み、上空に母艦が浮遊している異様な光景が、当たり前となっていた。

そんな中、女子高生の小山門出(声:幾田りら)と「おんたん」こと中川凰蘭(声:あの)は、担任教師の渡良瀬(声:坂泰斗)や仲の良い友人たちと高校生活共に学生生活を送っていた。

不思議な長ーーい題名でびっくり。漫画家・浅野いにお氏の傑作漫画が原作で、2014年より「週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)」にて連載されたのを映画化。4月には後章も公開。

空には『第9地区』のような空母がデーンと浮かんでいて、そのために日陰になったと訴えている住民がいたり、高校生の女の子はそんなのお構いなしで付き合っている男子の話しや担任が好きな女の子はアパートまで行って告白したりと青春を謳歌している。

戦争と平和が同じ空間で違和感なしの「不思議調和」していた。よくよく考えてみれば空と地を「戦争している地と日本」に置き換えることができると感じた。

★ヘヤードレッサー賞


🎬『ソウルフル・ワールド』ピート・ドクター監督、脚本/アメリカ

ニューヨークでジャズミュージシャンを夢見ながら中学の音楽講師をしているジョー・ガードナーは、校長から正式の教員になったことを伝えられた。母親は給料もよく保険もつく教員に大喜び。

その嬉しいニュースに気をよくしていたジョーに、もっと素晴らしいニュースが舞い込んだ。それは憧れのジャズクラブで演奏するチャンスを手にしたのだ。もう気持ちはジャズマンに傾いていて、ウキウキして歩いていたら、マンホールに落ちてしまい「ソウル(魂)の世界」に入り込んでしまった。

そこはソウルたちが人間として生まれる前に、どんな性格、どんな興味を持つかを決める場所で、ジョーは、22番と呼ばれるソウルと出会うが、人間の世界が大嫌いで、何百年もソウルの姿のままだった。

生きる目的を見つけられない22番と、夢をかなえるために元の世界に戻りたいジョー。正反対の2人の先にどんな人生が待っているのだろうか。

魂の世界なら死後とか天国、または地獄に話がいきそうだが、このアニメは生まれる前の「魂」のお話。ユニークさが際立っている。

ニューヨークの下町(ブルックリンかな?)の深みのある色合いとソウルの住む淡い色の対比がとても効いていた。動きや展開が速いので吹き替えで良かった。声優さんも◎ ジャズ演奏も◎

★音楽賞


posted by ミッキー at 12:56| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする