2024年07月24日
オンラインで SKIPシティ国際Dシネマ映画祭『日曜日』
🎬『日曜日』ショキール・コリコヴ監督、脚本/ウズベキスタン /97分/日本初上映.
ウズベキスタンの田舎で細々と小さな酪農を営んで暮らす老夫婦。質素ながら満ち足りた二人の暮らしは穏やかだ。羊の毛を刈り糸を紡ぎ、染めて織物を織る。
楽しみといえばテレビを見ることぐらい。それも旧式のもので老妻にチャンネルを返させている。
町に住む息子は、親の古い家を新築したいと言うが……。
いつもいくマッサージの先生が「ちょっと不便ぐらいがお年寄りには一難いいんだよ」という言葉が浮かんだ。
テレビ主導権のある夫の手振りでチャンネルを嫌な顔もしないでテレビまで歩いて行く妻。煮炊きはマッチで火をつけている。
時々、新しい電気製品や携帯電話など持ってくる息子はいい事していつもりだが、使いこなせるまでのケアもない。今まで以上に不便になって癇癪持ちの夫は怒り出すし妻はオロオロ。
喜劇のような面白さの中に、老夫婦の幸せを奪う「現代的」な人間の気持ちや新製品を恨めしく思った。
★ショキール・コリコヴ監督の初長編作品。上海国際映画祭アジア・ニュー・タレント賞最優秀作品賞を受賞。
2024年07月23日
オンラインで SKIPシティ国際Dシネマ映画祭『雨花蓮歌』短編『立てば転ぶ』
🎬『雨花蓮歌』朴正一監督/79分/世界的上映
大学生活を送りながらも、家族関係や友人のさりげない言葉に悩む妹の春美。結婚を考えているが母や周囲から反対されている姉の麗子。姉妹は今までのように何でも話せた時はすぎて、この頃は小さないさをするようになって……。
話好きなお父さん、お料理の上手なお母さん、そしてお年頃の娘さんたち。初めは何の不足もない家庭と思いきや、在日の家族だった。ミッキーの知っている方の家族の会話は韓国語と日本語が入り混じっているが、この家では全部日本語。そのわけもあとでわかる。
映画のストーリー展開は「大袈裟」な描き方は一切ない。ミッキーの知る限りだが真実のことばかり。
姉妹のおばあちゃんの時代、お母さんの時代、結婚を意識した長女の思い、現代っ子の次女の在日の考え方がそれぞれに違うところも理解させてくれた。
🎬『立てば転ぶ』細井じゅん 監督、脚本/48分/世界的上映
小さなスーパーで働くのは、大学生の安達、売れない役者の石川、フリーターの内田の3人が働いている。安達はひたすら面白くもない無駄話をしている。それにのって応酬する石川。内田は一人黙々と仕事をしている。
バイト先だけの関係だが、しつこく話を続ける安達には、彼女なりの理由があって……。
細井じゅん監督の初作品。無駄話、トンチンカンな受け答え、細かいところに妙なツッコミ、等々、見ているこっちが4人目になって首を突っ込みたくなるほど、上げ足取りの連続。
途中、店長さんも参戦、寡黙な内田さんの開き直り…‥時間があったらもう一度観たい作品だった。
2024年07月22日
オンラインで SKIPシティ国際Dシネマ映画祭『マスターゲーム』
先週から名古屋も超・猛暑日。飼っているメダカの位置を北側ベランダに変えた。ここは夕方に小一時間日がさすだけ。去年夏も猛暑だったが今年はそれ以上らしい。
🎬『マスターゲーム』バルナバーシュ・トート監督/ハンガリー /91分/日本初上映
1956年。ハンガリー動乱のブダペスト。民衆蜂起を制圧するソ連軍の追跡を逃れるために、愛し合うマールタとイシュトヴァンは、西へと向かう最後の列車に飛び乗った。
一方、あるカトリックの神父は当局に拘束され、ヴァチカンの財産をめぐり拷問を受けていた。
それぞれの人生が亡命列車で繰り広げられるチェスゲームを通して、物語は思わぬ展開をみせる。
同じようなチェスがらみの映画を思い出して調べてみた。2023年7月公開のドイツ映画『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』だ。
原作は同じシュテファン・ツヴァイク。
内容は少し変えているがチェス名手みなる道筋は同じ。このハンガリー作品は列車の中のシーンと回想シーンでできているが、全編に戦下の不穏な空気感、緊張感で描かれていた。