Netflix『アバンとアディ』ジン・オング監督、脚本/マレーシア/114分
アバンとアディは小さい時から兄弟同様でマレーシアのブドゥで育って小さなアパートで2人で暮らしていた。身分証明書を持っていないために、パスポートや銀行口座も作れない。アバン(ウー・カンレン)は生まれつき口がきけず、真面目に働いて安定した生活をしたいと思っているが、アディ(ジャック・タン)は手っ取り早く金儲けをしようと、危険な仕事に手を出している。
そこにNGOから派遣された社会福祉士の若い女性がやって来て、2人に身分証明書を取得する手助けに全力でしてくれるが、アディと口論が元で「事件」が起きてしまう。そのことでアバンとアディは窮地に立たされていく。
Netflixでこんなに気持ちが揺さぶられる作品に出会うとは思わなかった。他民族国家のマレーシアが抱える「闇」が2人の青年の生活を通して見事に描かれていた。
貧しい生活の中でもいつもお互いを思いやる「愛」があって、涙なしでは観られなかった。
同じアパートに住みふたりを幼い時から見守るマニーを演じるケ金煌(タン・キムワン)が素晴らしい。Netflixだけでは勿体無い作品。