🎬『コットンテール』パトリック・ディキンソン監督、脚本/イギリス、日本/94分
作家の兼三郎(リリー・フランキー)は妻・明子(木村多江)の葬式でしばらく会っていなかった一人息子の慧(錦戸亮)とその妻さつき(高梨臨)、孫のエミに久しぶりに会う。酒に酔ってだらしない喪主の兼三郎に、息子は怒りながらも気にかけていた。
寺の住職が預かっていた明子の遺言状を渡された父息子は、明子が子どもの頃に好きだった「ピーターラビット」の発祥地であり、夫婦で行きたいと思っていたイギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しいと書かれていた。
兼三郎と息子一家は、明子の願いをかなえるため、イギリス北部の湖水地方にあるウィンダミア湖へ旅立つ。
外国の監督が日本映画を作るのは最近ではビム・ベンダース監督の『PERFECT DAYS』だ。今作の『コットンテール』はイギリス、日本映画となっているが描かれているのは日本の家族で、ほぼ「日本映画」と言っていいと思う。
主人公の兼三郎は若い時は英語教師をしながら小説家を目指していた男で、今は作家となっているが、生活を支えるだけの収入があるのか、妻も働いていたのか、家族の一人ひとりを描き切っていない(息子の妻は責任のある地位についているのは分かった)。
妻が認知症と告白して、将来が心配と言っても「そんなことには、ならないよ。大丈夫だよ」というばかり。リリー・フランキーの完璧な演技だからか非常に腹が立った。
ミッキーが妻なら「ボケて手に負えなくなったらすぐ施設に入れてね。あなたも一緒に施設探ししてほしい」と頼むだろう。でも妻が頼んだことはイギリスの湖に散骨することと「もう一つ」あった。
それが腹立たしく残念だった。「もう一つ」のことは書けないが身勝手なのは妻の方だと思った。
★認知症なのに他の病気も併発したのか、何の説明もなかったが、酷い苦しみようだった。
★兼三郎の若い時代を演じた工藤孝生がリリー・フランキーのしぐさや物言い、そして声まで似ていた。出番は少なかったがこの作品で一番、目をひいた。