2024年01月05日

2023年 ドキュメンタリー映画 ベストテン

昨日から伊豆高原に来ている。周りは人気なし。常住の方はどこか旅行だろうか、時々来る方も正月はこんな寒い高原地帯には来ないのだろう。

ミッキーはお節の残りを持ってきて、それをつまみながら 野菜たっぷり雑煮 ♨️温泉 散歩 昼寝 おやつにりんご🍎とピーナッツ ♨️温泉 夕寝 雑煮と同じダシで野菜たっぷりうどん ♨️温泉 Netflix見て 本寝……。今朝は8時に起床。朝ご飯はコーヒー☕️ クラッカー チーズ りんご🍎 昼は無料バスに乗ってどこかでランチの予定。


1位

🎬『メンゲレと私』クリスティアン・クレーネス、フロリアン・バイゲンザマー監督、脚本、製作/オーストリア/96分

リトアニア出身のユダヤ人ダニエル・ハノッホは、9歳の時に家族と別れ、ただ1人、カウナス郊外のゲットーに送られた。12歳でアウシュビッツ強制収容所に連行された。

金髪の美少年だった彼は、非人道的な人体実験を繰り返したヨーゼフ・メンゲレ医師の寵愛を受け、特別待遇の収容所生活を送る。しかしダニエルが見た真の地獄は、終戦間際に連合軍の攻勢から逃れるため捕虜たちが強制的に移動させられた「死の行進」だった。

ダニエルはそこで、暴力や伝染病、カニバリズムといった人類史の最暗部を目の当たりにする。

スクリーンに映るご老人の上品な顔立ち、トツトツと語る口もとからは当時「見たまま」の真実が語られている。昔は美少年だったと思われるお顔で「自分が生きながらえたのは、無関心を装うことに尽きた」と諦めにも似た表情が印象的だった。

だがカニバリズムの件になると「このことは今まで誰も語ってこなかった……タブーなんだ」と口篭っていた。

途中、10回ほど貴重な当時のフィルム(1分以内)が映される。初めて見る映像ばかりで、これだけでも観る価値はある。

★作品賞 編集賞

2位

🎬『マイ・ファミリー 自閉症の僕のひとり立ち』モニーク・ノルテ監督、脚本/オランダ/83分

自閉症である42歳のケース・モンマは、両親のサポートを受けながら実家の離れで「半分自立」して暮らしている。彼の両親は80代。今まで頼り切っていた母に認知症の兆候が現れ始めて、安心を与えてくれるはずだった両親の変化を目の当たりにしてパニックに陥るケース。

自分たちの亡き後も息子に安心な暮らしをさせてあげたいと願う両親。モンマ家で起こる出来事を丁寧に描きながら、モンマも自立を目指す姿を、ユーモアを交えながら描かれている。

自閉症の息子が生まれてから、両親にとっては常にケースが生活の中 心であった。特に母とは二人三脚で暮らしてきた。ケースにとってもその存在なしで生きていけるだろうか。

自分が1人になったらどうすればいいか という大きな不安に時々襲われて気弱になるが、実の兄夫婦、介護の方と上手く折り合っていけること祈りつつ見終えた。

★女性監督賞


3位

🎬『光をみつける ヴァイオリニスト穴澤雄介からのメッセージ』永田陽介監督/80分/名古屋シネマスコーレにて

全盲のバイオリニスト・穴澤雄介を描いたドキュメンタリー。

すごく明るい方でお話の仕方も嫌味がなくて、そして肝心のバイオリンが上手い❗️これほどの腕前とは思いもよらなかった。まず、音程が正確(バイオリンは押さえる角度で音程がよくずれる)、ビブラートがしつっこくない、バイオリンをたたき込まれたミッキーが言うのだから信じてほしい。

ご自分で曲を作れるのも、体の中にリズム感や音感が備わっている方だ。

ナレーションや対談のお相手の舞の海さんも上品な語り口でこのドキュメンタリーの品格を上げていた。

★ナレーション賞



🎬『ジェラール・フィリップ 最後の冬』パトリック・ジュディ監督/フランス/66分

1940〜50年代のフランスを代表する国際的スターとして大活躍したが、1959年に肝臓ガンのため36歳の若さでお亡くなりになった俳優ジェラール・フィリップ。彼の生い立ちから死までを追ったドキュメンタリー。

始まりは二人の子どもと海で遊ぶジェラール・フィリップ。体は細身ではあるが筋肉質でしなやかな体つきだった。彼の魅力は瞳。いろんな感情がその瞳に宿ると、まるで魔法にかかったような気分になる。

周りに華やかな美しい人が大勢いた彼だったが、結婚した奥様は、子連れ、歳上、学者という知的な方で、ジェラール自身の人を見る目があったことがわかった。

それ以外に、対ナチスのレジスタンス運動へ参加していたことなど、知らないこともたくさんあったし、ご家族とのプライベートの貴重なフィルムもたくさん見ることができた。

お子たちは今どうなさっているのか、調べてみたがわからなかった。

★企画賞


🎬『NO 選挙,NO LIFE』前田亜紀監督/109分

選挙の立候補者や活動に裏側の面白さを伝えるフリーランスライター・畠山理は50歳。国政から地方選、海外まで、選挙取材歴は25年を超え、候補者を取材して、許可をもらって記事を信条としている。

それらを書籍にまとめた「黙殺〜報じられない「無頼系独立候補”たちの戦い〜」(集英社)は、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞

そんな彼の日常を追ったドキュメンタリー。


監督は『なぜ君は総理大臣になれないのか』『香川1区』『劇場版 センキョナンデス』『国葬の日』のプロデューサー前田亜記さん。

いろんな立候補の方々を見せてもらった。やけどしそうなレベルの熱い方や、「そんなアホな……」と思う滑稽な立候補の理由を真面目にお話しする方など様々。

途中、安倍元総理の暗殺事件もあって、臨場感が増す中も取材をしていた。

★監督賞


🎬『アントニオ猪木をさがして』和田圭介、三原光尋監督/108分

プロレスラー、実業家、政治家としていろいろなエピソードを持つアントニオ猪木。去年、79歳でお亡くなりになった。「元気ですか!?」と誰もが一度は耳にしたことのある「言葉」を切り口に、アントニオ猪木という人物の真の姿に迫っていくドキュメンタリー。


猪木氏自身が設立した新日本プロレスの50年目を記念して制作されたドキュメンタリー。

少年時代はブラジル移民として力仕事に精を出していた彼は、力道山に見い出されて17歳で日本に来たということは知らなかった。力道山との出会いで大きく人生を変えたが、彼自身にも「アントニオ猪木」を見て人生の苦難を乗り越えた人たちがたくさんいたことがわかった。

猪木ファンの方々が語る「アントニオ猪木」と、ドラマ仕立ての「プロレスに憧れた少年」部分も違和感なく見られた。新日本プロレスの宣伝カーのウグイス嬢は倍賞姉妹がやっていたとか……聞いてみたかった。

★主題歌賞(福山雅治)


🎬『アアルト』ビルピ・スータリ監督、製作、脚本/フィンランド/103分

優れたデザインの家具・食器や数々の名建築を手がけたアルバ・アアルト。同じ建築家であった妻アイノと創造していく過程とその人生のを追ったドキュメンタリー。アイノと交わした手紙の数々や、同世代の建築家、友人たちの証言を通し、アアルトの知られざる素顔を描いている。

フィンランドを代表する建築家・デザイナー、アルヴァ・アアルト(1898-1976年)のドキュメンタリー。アアルトが2023年に生誕125年を迎えたことを記念して公開された。

恥ずかしながらお名前は知らなかったが、椅子の形には見覚えがあった。ご本人はなかなかの美男子。奥様はお二人いたがふくよかな女性で、頭の良い方だった。世界的な建築家もしっかりした女性に支えられていたことがわかった。

一番興味を惹いたのは「ルイ・カレ邸」。現在フランスに現存する唯一のアアルト設計の家。

見る角度によって変わる建て方で、週末だけ見学できるようなので、行ってみたい。映画でもっとこの邸を時間を取って映して貰いたかった。

★音楽賞


🎬『ミャンマー・ダイアリーズ』ミャンマー・フィルム・コレクティブ/オランダ、ミャンマー、ノルウェー/70分

圧政下のミャンマーに住む市民たちからSNSに投稿された記録映像をつなぎ合わせて、軍事クーデターの日常をドキュメントしている。

2022年・第72回ベルリン国際映画祭パノラマ部門でドキュメンタリー賞を受賞した作品。


いつも行く喫茶店の横がローソン。そこに勤めているミャンマーの中年女性の方と親しくなった。その方からコロナだから帰れないけどミャンマーがクーデターが起こっているから、コロナが治っても帰国しない」と言っていた。

その方は、この映画のように反対する人を連れ去って殺されたり、軍が市民に向けて銃を発泡するようなことは言ってなかったので、こんなひどいとは思わなかった。

政府に反発する人は顔を見せずに映していたし、最後映画が終わってから中心となって映画製作した方が「この映画の配給収益金がミャンマー避難民の為に使われる」と黒い画面で声だけのメッセージがあった。

観終わってすぐチラシを持って(その方は日本語も読める)ローソンに行ってみたら6月に辞めたと聞いた。そういえばずっと会っていなかったことに気づいた。もっとミャンマーのことをお聞きしたかった。


🎬『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』タラ・ウッド監督、脚本/アメリカ/101分/8月11日より新宿シネマカリテ、名古屋伏見ミリオン座にて全国ロードショー公開

独特な作風で映画ファンを虜にしているタランティーノ監督。噂では10作目を作ったら引退すると公言している。そう言いながら引退しない監督さんが日本に若干2名いらっしゃるので、信じたくないが……。

黄色いチラシの右に有名スターさんがずらり。この方々はいつもタランティーノ監督の常連さん。電話がかかってきて「脚本を送るから読んで見てくれないか」の言葉を今か今かとドキドキしながら待っているのだ。

1シーン1シーンのこだわりで撮影現場は何が起こるかわからないし、側から見ていてハラハラしどうしの時も、タランティーノの頭の中はしっかりと計算されていて「構成力が抜群」とわかった。

各々の作品の裏話などがふんだんにあって絶対飽きさせないドキュメンタリー。

長年の製作パートナーで資金援助をしてもらっていたハーヴェイ・ワインスタインとのことも、いろいろ知っていたが何も行動できなかったと吐露していた。


🎬『NO LIMIT, YOUR LIFE ノー リミット,ユア ライフ』毛利哲也監督/99分/ミッドランドスクエアシネマにて


大学を卒業して広告会社でプランナーとして充実した毎日を送っていた武藤将胤は、将来妻となる木綿子さんと初めて会った日に 、彼女から「手が震えているけど……」と言われ「この震えは1ヶ月前ぐらいから始まった」と答えた。その会話が気になって病院を転々として調べた結果、難病のALSと診断が下った。27歳の時だった。

絶望した武藤だったが、10000人以上といわれている患者たちの未来を明るくするアイデアを形にすることを決意。最新テクノロジーを使った活動を開始する。

2021年8月の東京パラリンピック開会式で、車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」でのパフォーマンスに参加。全ての人が自分らしさを表現できるという「ボーダーレスな生き方」を世界へ発信した。

ALSが治せる日が来ると信じて活動する武藤氏と、彼がALSと知った上で結婚した妻の木綿子さんが、病に立ち向かう挑戦の日々を追ったドキュメンタリー。ナレーションは石原さとみ。

ALSはパーキンソン病と似ているがパーキンソン病の薬は効かなくて、進行が早い難病だ。男の方の罹患がおおいようだ。

難病に立ち向かう若いご夫婦を取り巻く、医者、生活を支える介護士、機器を研究する人、ロボット工学の人が力を合わせて彼を支えていて、研究や創意工夫に取り組んでいた。

最後にご夫婦のこれからの「希望」を聞いて、胸に迫ってくるものがあった。




posted by ミッキー at 11:29| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする