
🎬 『ビバ・マエストロ! 指揮者ドゥダメルの挑戦』テッド・ブラウン監督/アメリカ/99分
このドキュメンタリーの主人公は、ベネズエラ出身の世界的指揮者であるグスターボ・ドゥダメル。ベネズエラの音楽を通して子供の尊厳を守る「エル・システマ」の出身。
近年のベネズエラ政情不安の中、国外に逃れる人が急増、自らも国外での演奏活動から帰国できなくなり、各国の演奏会も中止が相次ぐ事態になったが、それでも彼は、新たな仲間と楽団を起ち上げ、音楽の力で人々に希望を与え続けていく姿を追っている。ー
「エル・システマ」は2008年に公開された『魂の教育 エル・システマ 〜音楽は世界を変える〜』を観ている。レッスン料も、なし、楽器は貸すというシステムでオーケストラを組んで演奏するという稀なシステムがベネズエラで始められた。その出身の指揮者ドゥダメル。
若々しく溌剌とした指揮で、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」の練習風景が圧巻だった。主旋律のあの有名な「タタタターン」の出だしや途中で出てくる「タタタ ターン」の弾き方など細かく丁寧に指導していた。同じく「ベートーヴェン第九、合唱付き」ではオーケストラと独唱、合唱のバランスが良くなかった。
音楽的には、勢いが勝り、出来不出来はあったが一応にして満足いくと思う。
★字幕では聞くと聴くの間違えがあって残念。
🎬『シャドー・ゲーム 〜生死をかけた挑戦〜』エーフィエ・ブランケフォールト、エルス・ファン・ドリール監督、編集/オランダ/90分
紛争で荒廃した国(アフガニスタン、イラン、シリア、スーダン、パキスタン)を逃れた10代の若者たちが、より良い生活を求めてヨーロッパの国境を越えようとしている。
彼らは地雷原、密輸業者、国境警備員、森では獣に襲われるなどの困難にあいながら数ヶ月から数年にも及ぶ危険な旅路をほぼ「徒歩」で進む。彼らは皮肉をこめて「シャドー・ゲーム」と呼んでいる。
ヨーロッパ中の国境にはフェンスが設置され、警官の目も監視カメラもある。それらをかいくぐり最終目的地に到達することは困難のように見えるが、彼らは諦めもせず安住の地を踏もうと前進するが……。
皆んな13歳から18歳ほどの目元が美しい少年たちで、スマホが命の次に大切な持ち物。このドキュメンタリーの中で彼らの撮った動画もたくさん出ている。ひとり行動はほとんどなくて仲間、兄弟で旅をするが、ある男の子は日本のアニメにある「ドラえもんのどこでもドア」が欲しいと言っていた。
最後には目的地に行き着いた彼らが数人映っていたが、新天地を目指した若者の多くが、今なお、旅の途上にいるかと思うといたたまれない気持ちでいっぱいになった。
★★難民映画祭は無料でも見られるので是非ご覧いただきたい。
詳しくは https://www.japanforunhcr.org/news/2023/rff18-film-review