今日は午後から3作品の試写があったが、みな告知日が先で今日は紹介できない。みな楽しめたので久しぶりの3作品には満足した。
🎬『マイ・ファミリー 自閉症の僕のひとり立ち』モニーク・ノルテ監督、脚本/オランダ/83分/11月25日より新宿K's cinema、シネマスコーレ(日にち未定)他にて全国順次公開予定。
自閉症である42歳のケース・モンマは、両親のサポートを受けながら実家の離れで「半分自立」して暮らしている。
彼の両親は80代。今まで頼り切っていた母に認知症の兆候が現れ始めて、安心を与えてくれるはずだった両親の変化を目の当たりにしてパニックに陥るケース。
自分たちの亡き後も息子に安心な暮らしをさせてあげたいと願う両親。モンマ家で起こる出来事を丁寧に描きながら、モンマも自立を目指す姿を、ユーモアを交えながら描かれている。
EUフィルムデーズ2023で『ケースがはばたく日』という題名で初上映された時の評。監督、ケースさんも来日。
自閉症の息子が生まれてから、両親にとっては常にケースが生活の中 心であった。特に母とは二人三脚で暮らしてきた。ケースにとってもその存在なしで生きていけるだろうか。
監督さんとケース・モッマさんご登壇❗️大きな拍手で迎えられた。通訳を通じてお話するケースさんもお声の出し方に無理はなくて姿勢がとても良い。手は前に添えて(歌をうたうように)、まるで用意してきたように話してくれた。
前作の『ケースのためにできること』でも監督さんにむかって「うちにくる時はミニスカートはやめてほしい、気が散ってしかたない」「扉を閉める時は静かに」と伝えていたが、今作でも内装業者の相槌の打ちかたや父といるだけでイライラするなどハッキリと相手に伝えていた。
だが、ちょっと苦手なタイプの父親が数週間入院して退院した時の喜ぶ様子は凄まじく「あー、良かった、もと通りのパパだ、もっと萎んでいると思った」と大歓喜していた。
自分が1人になったらどうすればいいか という大きな不安に時々襲われて気弱になるが、実の兄夫婦、介護の方と上手く折り合っていけること祈りつつ見終えた。
2023年11月15日
2023年11月14日
『理想郷』センチュリーシネマにて
🎬『理想郷』ロドリゴ・ソロゴイェン監督、脚本/スペイン、フランス/138分
スペインのガリシア地方の山間の村に、自然農法をしたいためにこの地に移住したフランス人中年夫婦のアントワーヌとオルガ(ドウニ・メノーシュとマリーナ・フォイス)がいた。夫婦は毎日、喜びを持って農作業に明け暮れていた。
だが貧しいの村人たちは、風力発電の地元誘致にやっきになっていて、それに反対する夫婦に暴力的な制裁をするようになる。特にすぐ隣の独身のアンタ兄弟の狂暴さには毎日の暮らしも脅かされて……。
これ、去年の東京国際で賞を取った作品。その時は『ザ・ビースト』(獣の意味)という題で、まさか理想郷という邦題で上映されるとは夢にも思わず劇場に行った。
見ごたえあり!山奥の田舎で「すぐ隣」なら歩いて10分くらい(もっとか?)という感覚だが、このお隣は庭続きでほんの2、3分。あまりの酷さにアントワーヌは小型ビデオカメラを買って応戦するようになる。
先日まで難民映画祭を見ていて、お互いに理解し合う難しさをわかってはいたが、平和の基は「隣人と理解しあい仲良くすること、全てそうなれば戦争は起きない」と本で読んだことがあった。まさに隣人とに諍いを描いたこの作品に「理解し合う難しさと、その反対の、難しい関係でも、叡智を含んだ一言で許し合える」糸口が描かれていて、稀にみる佳品だと感じた。
2度観したが、今日の方が深く捉えることができた。
★監督さんの前作は『おもかげ』 元夫と旅行中の幼い息子から電話を受けた母親は、息子が一人で海辺に取り残されていることを知る。10年後、息子が失踪した海辺のレストランで働く母親は息子によく似たフランス人の少年と出会う。これも好きな作品だった。
スペインのガリシア地方の山間の村に、自然農法をしたいためにこの地に移住したフランス人中年夫婦のアントワーヌとオルガ(ドウニ・メノーシュとマリーナ・フォイス)がいた。夫婦は毎日、喜びを持って農作業に明け暮れていた。
だが貧しいの村人たちは、風力発電の地元誘致にやっきになっていて、それに反対する夫婦に暴力的な制裁をするようになる。特にすぐ隣の独身のアンタ兄弟の狂暴さには毎日の暮らしも脅かされて……。
これ、去年の東京国際で賞を取った作品。その時は『ザ・ビースト』(獣の意味)という題で、まさか理想郷という邦題で上映されるとは夢にも思わず劇場に行った。
見ごたえあり!山奥の田舎で「すぐ隣」なら歩いて10分くらい(もっとか?)という感覚だが、このお隣は庭続きでほんの2、3分。あまりの酷さにアントワーヌは小型ビデオカメラを買って応戦するようになる。
先日まで難民映画祭を見ていて、お互いに理解し合う難しさをわかってはいたが、平和の基は「隣人と理解しあい仲良くすること、全てそうなれば戦争は起きない」と本で読んだことがあった。まさに隣人とに諍いを描いたこの作品に「理解し合う難しさと、その反対の、難しい関係でも、叡智を含んだ一言で許し合える」糸口が描かれていて、稀にみる佳品だと感じた。
2度観したが、今日の方が深く捉えることができた。
★監督さんの前作は『おもかげ』 元夫と旅行中の幼い息子から電話を受けた母親は、息子が一人で海辺に取り残されていることを知る。10年後、息子が失踪した海辺のレストランで働く母親は息子によく似たフランス人の少年と出会う。これも好きな作品だった。
2023年11月13日
Netflix『ザ・キラー』
🎬『ザ・キラー』デビッド・フィンチャー監督/アメリカ/113分
パリで暗殺に失敗した男(マイケル・ファスベンダー)は、暗殺組織から抹殺されそうになって、自分の立場の危うさを知る。いくつかの危機を乗り越えて愛する人の住むドミニカ共和国の家にたどり着いたが、家はすでに荒らされて、愛する人は意識不明で病院に運び込まれていた。
目覚めた恋人は「あなたのことは一切明かさなかった……」と彼を守ったことを瀕死の状態の床から誇らしげに呟くにだった。
どこから暗殺者は復讐者として彼女を襲った関係ある人たちを殺める旅に出る。
デビッド・フィンチャー監督は『セブン』『ゾディアック』『ゴーンガール』など、ミッキー好みの作品の方。だから期待満々でみたが面白くないわけではないが、ちょっと期待の「怖さ」が薄かった。
ただ復讐のために一人ひとり殺して行くが「この人は殺さないのかもしれない」と思わせておいて、瞬時にパッと殺すタイミングが良かった。自分が殺されるなら、こういう風ににやってもらいたい。みんな苦しむことなく一瞬で殺されていた。
気に入らないことの一番は最後の詰めの甘さ……あんな風な幸せが続くとは思えない。
パリで暗殺に失敗した男(マイケル・ファスベンダー)は、暗殺組織から抹殺されそうになって、自分の立場の危うさを知る。いくつかの危機を乗り越えて愛する人の住むドミニカ共和国の家にたどり着いたが、家はすでに荒らされて、愛する人は意識不明で病院に運び込まれていた。
目覚めた恋人は「あなたのことは一切明かさなかった……」と彼を守ったことを瀕死の状態の床から誇らしげに呟くにだった。
どこから暗殺者は復讐者として彼女を襲った関係ある人たちを殺める旅に出る。
デビッド・フィンチャー監督は『セブン』『ゾディアック』『ゴーンガール』など、ミッキー好みの作品の方。だから期待満々でみたが面白くないわけではないが、ちょっと期待の「怖さ」が薄かった。
ただ復讐のために一人ひとり殺して行くが「この人は殺さないのかもしれない」と思わせておいて、瞬時にパッと殺すタイミングが良かった。自分が殺されるなら、こういう風ににやってもらいたい。みんな苦しむことなく一瞬で殺されていた。
気に入らないことの一番は最後の詰めの甘さ……あんな風な幸せが続くとは思えない。