舞台は深い森の奥にある重度障害者施設。ここで働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は元・有名作家。彼女には「師匠」と呼ぶ夫・昌平(オダギリジョー)がいて、ひっそりと暮らしている。
洋子は働くうちに、職員による入所者への心ない扱いや暴力を見るが、それを訴えても聞き入れてはもらえない。そんな行いを誰よりも怒っているのは、さとくん(磯村勇斗)だった。彼の正義感や使命感は、やがて、その怒りは徐々に極端な方向に変様していく。

『アジアの天使』『舟を編む』 の石井裕也監督が実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の同名小説を映画化。
内容的には見たくない部類の作品だが、宮沢りえ、オダギリジョー、二階堂ふみ、磯村勇斗が出ている映画を素通りするわけにはいかない。
やはり見たくない場面はあった。実際に、自分の母親が施設に入っている方からも乱暴な扱いをされたり、その現場を見たりした話は聞いていて「1週間に一度は必ず見舞いに行って、たまに差し入れもする」と愚痴っていた。
映画では施設だけではなく堂島家にも過去の出来事を引きずっていて、それが重層となっているので余計に暗い印象を持ったが最後のセリフで微かだが光を感じさせてもらった。
★オダギリジョーが洗練されていない素朴な青年を演じていた。監督の作品『アジアの天使』でのいい加減なオダギリジョーも好きだが、素朴な彼も好き。