2023年10月13日

10月13日公開映画『月』

🎬『月』石井裕也監督/144分

舞台は深い森の奥にある重度障害者施設。ここで働くことになった堂島洋子(宮沢りえ)は元・有名作家。彼女には「師匠」と呼ぶ夫・昌平(オダギリジョー)がいて、ひっそりと暮らしている。

洋子は働くうちに、職員による入所者への心ない扱いや暴力を見るが、それを訴えても聞き入れてはもらえない。そんな行いを誰よりも怒っているのは、さとくん(磯村勇斗)だった。彼の正義感や使命感は、やがて、その怒りは徐々に極端な方向に変様していく。

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『アジアの天使』『舟を編む』 の石井裕也監督が実際に起きた障がい者殺傷事件をモチーフにした辺見庸の同名小説を映画化。

内容的には見たくない部類の作品だが、宮沢りえ、オダギリジョー、二階堂ふみ、磯村勇斗が出ている映画を素通りするわけにはいかない。

やはり見たくない場面はあった。実際に、自分の母親が施設に入っている方からも乱暴な扱いをされたり、その現場を見たりした話は聞いていて「1週間に一度は必ず見舞いに行って、たまに差し入れもする」と愚痴っていた。

映画では施設だけではなく堂島家にも過去の出来事を引きずっていて、それが重層となっているので余計に暗い印象を持ったが最後のセリフで微かだが光を感じさせてもらった。

★オダギリジョーが洗練されていない素朴な青年を演じていた。監督の作品『アジアの天使』でのいい加減なオダギリジョーも好きだが、素朴な彼も好き。
posted by ミッキー at 23:29| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

山形ドキュメンタリー映画祭2023(8)「日本プログラム」より『どうすればよかったか?』

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山形ドキュメンタリー映画祭の受賞作品が発表されたが、全てミッキーの観ていない作品ばかりで昨日から落ち込んでいる。観たものには満足しているので落ち込む必要はないが……ちょっと寂しい。

🎬『どうすればよかったか?』藤野知明監督/102分

1983年、当時24歳の姉に統合失調症の症状が現れた。両親はそれを認めず、精神科を受診させることなく姉は家に引き籠ってしまう。

そのうちに両親は玄関に南京錠をかけて、姉の外出を阻止するようになった。両親の態度を疑問に思った弟の監督は、その責任を問うためにキャメラを回し始める。20年以上にわたる4人家族の葛藤を克明に映像に残していく。

上映が終わるとすぐ大きな拍手が起こった。だが拍手も出来なかったし、出てこられた監督さんのお顔すらまともに見ることが出来なかった。

驚きとよくこの家族に20年もの間、カメラを向けて来たなという軌跡に打ちのめされていたからだ。

皆、エリートの家族でお金には不自由ではない。お姉さんは医学部で解剖の授業がきっかけとなってしまうのだが、外聞を気にする母親、自分の意見を強調しない父親……の中で監督さんは逃げるように遠地の大学に入り家を出る。

これは公開されると思うので書けるのはここまでにするが、是非観ていただきたいドキュメンタリーだった。
posted by ミッキー at 11:33| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする