2023年09月21日
第28回あいち国際女性映画祭2023(7)フィルム・コンペティション実写部門より『恵子さんと私』『Habitat』
🎬『恵子さんと私』山本裕里子監督、脚本/23分
感染症の蔓延した近未来。ヒト型AIの利用が一般化した日本。
小山家の娘・愛理の育児全般と教育や家事を長年担当してきた「恵子さん」は、愛理の赤ん坊の時から12、3年近く母親以上に接してきた。このところ、機械の不備のせいか失敗が多く、それを心配した実母の理子は新型へ交換しようとするが、愛理は反発する。
近未来の世界で、人間親子は接触していけないらしい。だから愛理と理子親子はモニター越しの対話。人間同様(人間より細かい配慮ができる)のロボット母さんに懐いてしまうのは当然のこと。
だが愛理の勉強も高度になってしまうので、仕方なく「新型の恵子さん」の登場となるが……。
大仰な設定ではあるが人間性が抜け落ちていない展開に満足した。
🎬『Habitat』エレナ・エスクーラ監督/スペイン/17分
毎日、老婆マリサ(イサベル・ロカティ)は公園のベンチに座って、向かいのアパートの一角にある部屋を見上げている。バルコニーや窓は人が住んでいる気配はないが……。
そんなマリサが不意に動き出す。「部屋の鍵を落としてしまって)と鍵開け職人(アブデラティフ・ウィダル)を呼んで、どうにか部屋に入り込む。
k鍵屋は「よくあることだよ、身分証を見せてください」と言ったが あっちこっとと探すふりをしているので サインだけで鍵屋は帰って行った。
結末は書かないが、起承転結がしっかりしていて、老婆女優の気品とオチもある見事な短編だった。題名のHabitatは生息場所という意味。