🎬『青いカフタンの仕立て屋』マリアム・トゥザニ監督、脚本/フランス、モロッコ、ベルギー、デンマーク/122分
モロッコの海沿いの街サレの路地裏で、女性の正装用の伝統あるカフタンドレスの仕立て屋を営む中年夫婦ハリム(サーレフ・バクリ)とミナ(ルブナ・アザバル)。
ハリムは高い技術を持ち、伝統を守る仕事をこよなく愛しながらも、自身は結婚はしているが宗教的には疎んじられた性癖であることに苦悩していた。ミナは夫の全てを受け入れて理解した上で支えてきたが、彼女は病に侵され余命わずかとなってしまう。
そんな彼らの前にユーセフ(アイユーブ・ミシウィ)という身寄りのない若い職人が現れ、3人は力を合わせて青いカフタン作りをするが……。
マリアム・トゥザニ監督の前作『モロッコ、彼女たちの朝』も人情味のある作品でモロッコの市街地の様子がとても気に入った。この時のパン屋の女主人がルブナ・アザバルさんだった。
伝統のカフタンに細かい刺繍を施す手先、出来上がってくる衣装の美しさにため息が出た。それ以上に人間の節度ある生活信条にうたれた。ほとんど室内の映像が多いが、聞こえてくる街の騒音、コーランの響きが遠くから響いてくる音響や整音が秀逸だった。