2023年06月18日
EUフィルムデーズ2023(6)『MISS OSAKA ミス・オオサカ』『一人はみんなのために』
🎬『MISS OSAKA ミス・オオサカ』ダニエル・デンシック監督、脚本/デンマーク、ノルウェー、日本/90分
24歳のデンマーク人女性イネス(ビクトリア・カルメン・ソンネ)は、恋人ルーカスの出張に同行してノルウェーに来ていた。そこで自分とよく似たマリアという日本のキャバレーで働く女性と知り合う。
マリアは自信に満ち溢れていて、日本の楽しい出来事をイネスに教えてくれた。2人は気があって車の中で夜中まで話し込んでいたが、イネスが寝ている間に、近くの川で水死。大声で助けを呼ぶが誰もいない。ふと鞄を見るとマリアの航空券とパスポート、住んでいる大阪のアパートの鍵、働いているキャバレー「ミス大阪」の場所など全部揃っていた。イネスはマリアになりすまして大阪に行く。
これ、2022年の大阪アジアン映画祭のクロージング作品。観ていなかったので楽しみにしていた。珍品映画と言えそう。ストーリーは無理承知の展開。実力派の日本人俳優でどうにか成り立っている。日本人男性シゲルを森山未來。キャバレーママさん役の南果歩、同僚ホステスのアヤノの阿部純子が演じている。
デンマークやノルウェーの方々の評判はどうだったのだろうか。
★監督のダニエル・デンシックは、来日した時に大阪の街に魅了され、大阪の老舗グランドキャバレー「ミス大阪」で撮影。
🎬『一人はみんなのために』ムヒ・アンドラーシュ・ピレシュ監督/ハンガリー/80分/日本初上映
2021年に開催された東京オリンピックで三度目の金メダルを獲得した フェンシングのシラーギ・アーロン選手とハンガリー代表チームを、東京オリンピック開催期間中を含む 5 年という歳月を 追ったドキュメンタリー。
フェンシングの競技をたっぷり見せてもらった。蜂が一刺しするような素早さで勝負するとは初めて知った。一瞬のうちに勝負が決まってしまう。個人では東京オリンピックを含めて金メダルを3回とっている超有名な選手の生活をのぞかせてくれた。
難は音楽が喧しかった。剣がぶつかり合う音、風を切るような動きの音、足音などをそのまま聞いてみたかった。
2023年06月17日
EUフィルムデーズ2023(5)『Terra』『答えをもつ男』
🎬『Terra』鈴木仁篤 、ロサーナ・トーレス監督/ポルトガル/60分/2018年/日本初上映
ポルトガルの中南部にあるアレンテージョ地方。土で固められたで大きな窯で男が一人炭を焼いている。近くには川が流れて、遠くから牛や羊の鳴き声がかすかに聞きえてくる。
始まってから20分ほどはあっちこっちから上がる白い煙の画面ばかりだ。前知識なしで見たので何か燻製しているのか、今にも爆発するのかと身構えたが何も起こらず、雇われた男2人は鳥の鳴き声を真似して鳥の返事?を楽しんでいる。
炭の元になる木はどこにも見えない。細い鋼鉄のような棒が見えただけだ。ほとんど会話もなく無言での60分だった。
朝4時半起きで5時間バスに揺られて、疲れ切って寝てしまうはずが一睡もせず観終わった。これぞ、本物のドキュメンタリーと感じた。
★2018年リスボン国際ドキュメンタリー映画祭・国内映画部門にて最優秀賞受賞作品。
🎬『答えをもつ男』ステリオス・カミチス監督、脚本/キプロス、ギリシャ、イタリア/80分/日本初上映
ギリシャで父方の祖母と暮らしていた若者ヴィクトラス(ヴァシリス・マゴウリオティス)は元水泳の飛び込み選手。実母はヴィクトラストの少年時代に恋人を作ってドイツで新しい家庭を作っていた。
実母からたまに電話はかかってきていたが、祖母が亡くなったので連絡をすると「忙しくて行けない、よく面倒を見てくれて、お父さんもきっと喜んでいるよ」と言っただけだった。
祖母の金細工のものを換金して古い車を買って、母のいるドイツに向かったが、フェリーでマティアス(アントン・ヴァイル)という自由奔放な青年と出会い……。
2023年06月16日
6月16日公開映画『カード・カウンター』
🎬『カード・カウンター』ポール・シュレイダー監督、脚本/アメリカ、イギリス、中国、スウェーデン/112分
元兵士のウィリアム・テル(オスカー・アイザック)はアブグレイブ捕虜収容所における特殊作戦で罪を犯して投獄されていた。服役中にカードを扱う技術を身につけ、出所後はギャンブラーとして大きな儲けで目立つことなく、地道に生計を立てていた。
だが、罪の意識にさいなまれ続けてきた彼は、ある青年(タイ・シェリダン)との出会いで、自らの過去と向きあうことを決意する。
いい男っぷりのオスカー・アイザック❗️ファンじゃなくても、この落ち着きぶりのギャンブラーに見惚れてしまった。
軍隊時代の辛い拷問をさせられて、カメラに映ってしまった自分だけ刑務所に入った。その命令者はお咎め無しだ。その恨みを乗り越えて……、
恨みを暴力や殺害ではなく、贖罪の気持ちに変えて若者を救おうとした彼の行動は、今一番必要な行いだと思った。
元兵士のウィリアム・テル(オスカー・アイザック)はアブグレイブ捕虜収容所における特殊作戦で罪を犯して投獄されていた。服役中にカードを扱う技術を身につけ、出所後はギャンブラーとして大きな儲けで目立つことなく、地道に生計を立てていた。
だが、罪の意識にさいなまれ続けてきた彼は、ある青年(タイ・シェリダン)との出会いで、自らの過去と向きあうことを決意する。
いい男っぷりのオスカー・アイザック❗️ファンじゃなくても、この落ち着きぶりのギャンブラーに見惚れてしまった。
軍隊時代の辛い拷問をさせられて、カメラに映ってしまった自分だけ刑務所に入った。その命令者はお咎め無しだ。その恨みを乗り越えて……、
恨みを暴力や殺害ではなく、贖罪の気持ちに変えて若者を救おうとした彼の行動は、今一番必要な行いだと思った。