🎬『㊙色情めす市場 デジタル復元版』田中登監督/84分/1974年
大阪の釜ヶ崎にあるドヤ街で暮らす19歳のトメ(芹明香)は精薄の弟(夢村四郎)と2人で安アパートで暮らして、トメの売春で生活している。母のよね(花柳幻舟)も40歳になるが今も現役の売春婦だ。
トメは小料理屋の二階で女将の采配下で売春をしていたが、反抗心からそこをやめて娼婦として街角に立っていた。そこによねの情夫が現れ、トメの客になった。しばらくしてよねは妊娠したとトメに泣きついてきたが……。
第78回ベネチア国際映画祭のクラシック部門(ベニス・クラシックス)に選出された作品。ベニス・クラシックスで日活作品は初めて。日活ロマンポルノ作品の世界三大映画祭での選出も初。
日活ロマンポルノの秀作として耳にしていた作品だったので迷わず観に行った。中年・老年男性約30人、女性中年も6人ほど。
どのシーンをとっても絵になっていて、当時のドヤ街のどろどろとした空気感に圧倒された。女優陣のねっとりした魅力(芹明香のエロ、宮下順子の薄幸、花柳幻舟の生々しさ)も溢れんばかりだった。
でも不満もあった。セックスシーンが後5秒ほど?足りない。もう少しのところで終わっていた。ポルノ映画としてどうなんだろう。
最後の通天閣から見下ろしたドヤ街のシーン、そこで映された思いがけない終盤の出来事にゾッとした。
★この後、田中絹代監督の『乳房よ永遠なれ デジタル復元版』と『月は上りぬ デジタル復元版』を観た。あまりに「㊙色情めす市場 デジタル復元版』が強烈だったので印象は強くないが両方に杉葉子さん(2019年に90歳でお亡くなりになった)が出ていたので嬉しかった。もう随分前にシネマジャーナルの編集時にケーキを差し入れて下さったことを思い出した。
★『月は上りぬ 』では北原三枝さんがおきゃんな娘を演じていてとっても可愛かった。「石原裕次郎の相手役」としてのイメージしかなかったので驚いた。