けっこう映画好きで山形も参加してたはずの方だったので、ちょっとがっかり。
Netflix『オンブレ・デ・アクシオン 伝説のアナーキスト』ハビエル・ルイス・カルデラ監督 /スペイン/111分/2022年
スペインで生まれたルシオ・ウルトゥビア(フアン・ホセ・バレスタ)は、少年時代に病身の父親のために薬を買うお金がなく、銀行にお金を貸してもらおうと掛け合うが無下に断られてしまった。その後、父親は亡くなり銀行への恨みだけが残った。
姉はフランスにメイドの職を得て行くことになって自分も連れて行ってくれと懇願するが、兵役がすんでから来なさいと行ってしまう。
それから10年、彼は軍の倉庫の品を盗み出すなど悪事の末、軍を脱走してフランスに渡った。姉は結婚していて夫は造幣局に勤める真面目な男で「うちは技術者だけしか勤められないが、他でよかったら仕事を世話をする」とレンガ工場で働くことになった。
そこでアナーキストたちと知り合って、その後、銀行ギャング、偽札作り、トラベラーズチェックの偽造など権力に抵抗するかのように生きていく。

実在の人物で2020年に90歳手前まで存命。アナーキストといえば日本では大杉栄(1885-1923)だ。
ルシオは少年の頃に薬代を貸してくれなかったら包丁で銀行支配人を刺そうと思ったぐらい向こうっ気が強く、軍隊では物資横流し、偽札、旅券偽造など見方によっては「詐欺師」だ。
それがそう言われず「貧乏人の立場にたってくれた人」と位置づけられた理由を、この映画で教えてくれた。
大金を盗んでも三等分して、一つはアナーキスト運動のため、一つはアナーキスト運動で捕まった家族の生活費、一つは実行した者たちに等分に分ける という規律をずっと守り、仲間の信頼を得た。
★精巧な偽札を尊敬するチェ・ゲバラに使ってもらおうと密かに面会を求めて(トイレで1分ぐらい)会うが「これぐらいの金ではアメリカはびくともしない」と言って一枚だけポケットに入れて出て行った。
★90歳近いご本人の写真を見たが眼力のある老人だった。