
🎬『警官ジジのアドベンチャー』アレッサンドロ・コモディン監督、脚本/102分/前作『幸せな時はもうすぐやって来る』
イタリア北東部ののどかな田舎を車でパトロールする警官ジジ(ピエル・ルイージ・メッキャ)の日常は退屈で平和そのもの。それでも村を巡回しては住民に話しかけたり、新しく入ってきた司令室の若い女の子と交信して、少しばかり楽しんでいる。
そんなジジの自宅は木々や草の手入れもせずに自然のまま。隣の男から散々「虫や蛇がくるから、剪定してくれ」と矢の催促。(映画の始まりはこの喧嘩から)でもそんなことは適当に言い返して、無視している。
2018年のこの映画祭で前作の『幸せの時はもうすぐやって来る』は確か一般公開されなかったはず。先が読めてしまう作品が多い中で、先が読めない作品だったので印象に残っている。映画祭の中でこういう立ち位置の作品が一本あるかないかで大いに違ってくる。
そして、この新作。前作から7年、持ち味を変えずに監督さんの成長ぶりが伺えてとても嬉しい。ジジを演じたのは監督のおじさんで元警官。ピッタリというより「そのもの」
名だたる俳優さんでも1番難しいのは「素人」だ。ジジおじさんのぶらり歩く後ろ姿はこの人にしかできない。ストーリーも大きな事件に遭遇もしない……ただあるのは日長続く「事件がありそうで、無さそうな」毎日。
時々パトロールカーの横に座る女警官から「上司にあんなこと言われて、なんで言い返せないないの?いつもヘラヘラして!」と意見されているが「ヘラヘラが武器なんだー」とたるんだ表情で言っていた。
出てくる方はみな土地の人で実名で出ている。味わいがありそうで、ない。ストーリーがなさそうで、ある。これ公開は多分無理。ミッキーが館主なら赤字覚悟で、買うがな……。
観た中で1番、監督さんにインタビューしたかった作品。