2023年05月19日

邪悪な楽園で 6月9日公開『コロニアの子供たち』

昨日からニュースで騒がしている歌舞伎の方の出演した『劇場版 緊急取調室 THE FINAL』をつい1週間前に試写で見たばかり。それも総理大臣役でかなり重要な役だから公開は……。いつ何時、何が起こるかわからないとはいえ、とても驚いている。

🎬 『コロニアの子供たち』マティアス・ロハス・バレンシア監督、脚本、編集/チリ、フランス、ドイツ、アルゼンチン、コロンビア/99分/6月9日よりヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿他にて全国ロードショー公開

1960年代。ドイツからチリに渡ったナチス残党によって設立された「コロニア・ディグニタ」は、労働・秩序・清廉さといった規律をもとにした美しい共同体として設立。しかし、裏では共同体の独裁者パウル・シェーファー(ハンス・ジシュラー)による管理・支配のもと、洗脳や密輸、拷問、殺人、小児虐待などが行われていた。

1989年、奨学生としてコロニア・ディグニタの学校に嬉々として寄宿舎に入った12歳の少年パブロは、入学してすぐに、パウルのお気に入りに選ばれる。それはパブロにとって地獄の始まりだった。

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2016年に公開された フロリアン・ガレンベルガー監督で主演がエマ・ワトソン、ダニエル・ブリュールの『コロニア』を思い出した。『コロニアの子供たち』では酷いシーンなどはないが不穏な空気、裏切りの密告などパプロの行動も全て監視されている。

はじめはお気に入りになると自由にテレビが見られると喜んでいたが、現実を知ったり、経験したりする中で暗く無表情になっていくのが観ていて辛かった。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/パウル・シェーファー で調べてみたら悪魔のような男パウル・シェーファーは88歳まで生きたと書いてあった。

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2023年05月18日

(EUフィルムデーズ2023」のお知らせ 『イニシェリン島の精霊』『ケースのためにできること』

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欧州連合(EU)加盟国の在日大使館・文化機関が提供する作品を一堂に上映するユニークな映画祭。開催20周年を記念する本年もEU 加盟全27カ国が参加している。東京・京都・福岡・広島の4会場を巡回上映。

家族、愛や友情、環境や女性の生き方など、世界中の人々に共通するテーマを主に、昨年加盟候補国となったウクライナの作品も特別上映。EU各国の魅力を是非ご覧いただきたい。 詳しくは https://eufilmdays.jp/

上映作品の中で観たものニ作品を参考までにあげて見た。

🎬『イニシェリン島の精霊』マーティン・マクドナー監督、脚本/イギリス、アメリカ、アイルランド/109分

本土が内戦に揺れる1923年。アイルランドの孤島・イニシェリン島は、島民全員が顔見知り。妹と暮らすお人好しのパードリック(コリン・ファレル)は、長年の友人であるはずのコルム(ブレンダン・グリーソン)から突然「お前との無駄話する時間がもったいない、俺は死ぬまでにやりたいことがあるから」と絶縁されてしまう。

驚くパードリック、いつも2時に行く飲み屋の店主も村人も心配そうに見ている。妹のシボーン(ケリー・コンドン)や隣人ドミニク(バリー・コーガン)に相談するが、コルムから「これ以上自分に喋りかけると、自分の指を切り落とす」と言い渡されて……。

『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナー監督の新作。第80回ゴールデングローブ賞で、マクドナー監督が最優秀作品賞、最優秀脚本賞。主演のコリン・ファレルに最優秀主演男優賞❗️2023年になって初の感動新作。一番気に入ったのは透き通った歌声。特に女声がよかった。まるで精霊のような歌声だった。

男2人の「大人になりきれていない」行動には、島ならではの特異な環境がそうさせるのかと思うが、結婚をしていないので半人前と思われている妹や隣人で少し幼いドミニクの方が、時には大人の行動やセリフがあった。


🎬『ケースのためにできること』モニーク・ノルテ監督/オランダ/87分/2014年

オランダのとある都市に住むケースは自閉症の44歳の男性。両親と兄2人の家族だが兄たちは独立していて今は3人暮らし。両親の助けでケースのこだわりの多い日常生活はこの歳になるまで滞りなく過ごすことができている。

ケースは不器用ながら口は達者で、監督に向かって「うちにくる時はミニスカートはやめてほしい、気が散ってしかたない」「扉を閉める時は静かに」と伝える。

そんな彼の趣味は自室で模型汽車を走らせること。日本語の漢字に興味があって日本語教師について学んでいるほどだ。

そんな一家にも年老いた両親が亡くなったら……という大きな問題が現実味を帯びてくるのだった。

posted by ミッキー at 08:05| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月17日

『それでも私は生きていく』伏見ミリオン座にて

今日、九州・福岡の映友・Fさんより、本が送られて来た。花田欣也著「是枝裕和とペ・ドゥナの奇跡」という本。「是枝裕和が感じるペ・ドゥナ」「ペ・ドゥナが想う是枝裕和」「映画「空気人形」での是枝裕和とペ・ドゥナ」「ふたりの空白の歳月、そしてこれから」の四章からなっている。

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🎬『それでも私は生きていく』ミア・ハンセン=ラブ監督、脚本/フランス、イギリス、ドイツ/112分

シングルマザーのサンドラ(レア・セドゥ)は、同時通訳の仕事をしながら8歳の娘とパリの小さなアパートで暮らしている。サンドラの実父ゲオルグ(パスカル・グレゴリー)はかつては哲学教師として生徒たちから尊敬されていたが、現在は病によって視力を失い、記憶も失いつつあった。

サンドラは母フランソワーズ(ニコール・ガルシア)と協力して父の介護をしていたが、父の変化を目前にして無力感にさいなまれていた。

仕事と子育てと介護に追われ、自分のことは後回しにしてきた彼女だったが、旧友クレマン(メルビル・プポー)と再会し恋に落ちるが……。

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『未来よ こんにちは』や『ベルイマン島にて』のミア・ハンセン=ラブ監督が、父の病への悲しみと新たな恋への喜びという相反する感情に直面したシングルマザーの心の動きを、自身の経験を基に描いたドラマ。

なかなか時間が合わなくてうずうずしていた作品。この日『TAR ター』『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』とこれを観たが、『それでも私は生きていく』が一番良かった。

レア・セドゥの腰からお尻、太もものたっぷりした身体の線が目に焼き付いて離れない。服を来ている時はそう感じなかったが、子どもを一人か二人産んだような色気のある線だった。

ボケが進んだ父親は母親とは離婚している。父親には愛人がいて、愛人が世話しにくると、娘が行って世話するときには見せない嬉しがりようで落ち込んだり、クレマンが妻と自分の間を行ったり来たりする苛立ちを「自分の中でおさめよう」「大人の判断をしよう」と気持ちを沈めている様子を見事に演じていた。


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