2023年04月27日

慈しんだ山で出会い、そして別れも……5月5日公開『帰れない山』

🎬『帰れない山』フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン&シャルロッテ・ファンデルメールシュ監督、脚本/イタリア、ベルギー、フランス/147分/5月5日より新宿ピカデリー、伏見ミリオン座他にて全国ロードショー公開。

都会で育った少年ピエトロ(ルカ・マリネッリ)は、山を愛する両親と山麓の小さな村で休暇を過ごす。その地で彼は同い年で牛飼いのブルーノ(アレッサンドロ・ボルギ)と出会う。繊細なピエトロと野性的なブルーノは対照的な性格だったが大自然を駆け回りながら過ごすうちに固い友情を育んでいく。

そんな夏休みが数年続いたが思春期に入ったピエトロは、父親に反抗したことがきっかけで村に行くことをやめてしまう。

月日が流れ、父の訃報を受けたピエトロは村を訪れ、ブルーノと久々の再会を果たす。

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撮影地は北イタリア、モンテ・ローザ山麓のアオスタ渓谷やアルプス山脈。

母と息子は夏になるとこの村に来る。父親は大会社の技師で時々トリノから山にきては息子をあちらこちらに連れ回していた。息子の友人ブルーノを気に入って「家に引き取って学校に入れる」といい、怒ったブルーノの父親は出稼ぎ先に息子を連れて行ってしまう。

もちろんピエトロは父親のやり方に反対する。「なぜ、あんな汚いトリノに連れて行くの、どうしてここで羊の世話やチーズ作りではいけないの」と反抗する。それがきっかけとなって父息子は離れて行く。

父は息子とは疎遠になったがブルーノとは会っていて遺言を残しているのだ。ブルーノもピエトロの男らしい父親を尊敬していて遺言を実行する。

30代になった2人は力を合わせて遺言の通り山に小屋を建てる。2人は幼い時のようにかけがえのない友となるが……、その後、2人の人生は大きく変化する。

「帰れない山」という意味が徐々に伝わって来る終盤のシーンには胸がいっぱいになった。

★原作は、世界39言語に翻訳されイタリア文学の最高峰・ストレーガ賞に輝いた同名の国際的ベストセラー小説。









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2023年04月26日

『ガール・ピクチャー』センチュリーシネマにて

名古屋は朝からしとしと雨模様。朝ご飯からカレー。昨日の味噌汁に豚肉、玉ねぎ、にんじん、椎茸、ニラ、じゃがいもをぶち込んでカレーにした。なかなかいける味になった。

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🎬『ガール・ピクチャー』アッリ・ハーパサロ監督/フィンランド/100分/センチュリーシネマにて


冷静なミンミ(アーム・ミロノフ)と、素直なロンコ(エレオノーラ・カウハネン)は、同じ学校に通う親友同士。放課になると二人はスムージースタンドのアルバイトをしていて、恋や性、そして将来のことなどを話し合っていた。

男性と過ごしていても何も感じないというロンコは、理想の相手を求めてパーティーに参加する。付いていったミンミは、トリプルアクセルができなくて落ち込んでいるフィギュアスケーターのエマ(リンネア・レイノ)と出会う。

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瑞々しい少女たちの3週間のお話。それぞれに悩みを抱えているが、それを解決するのは自分自身であることもわかっているが、ちょっと相談してみる親しい女友だちという存在が羨ましい。ミッキーにも17、18歳はあったはずだが何も「悩み」はなかった。悩む暇もなくてただ毎日毎日音楽漬けの青春だった。残念な青春だ。

三人三様の性格の違い、悩みの違い、家庭環境の違いなどが程よく描かれていた。

★それにしてもあのフィギュアスケートの見事なこと。調べてみたら3カ月の練習期間らしい。もっとやればオリンピック選手になれそうな実力だった。身のこなしも美しい。
★2022年・第38回サンダンス映画祭ワールドシネマドラマ部門で観客賞を受賞。第95回アカデミー賞の国際長編映画賞部門のフィンランド代表作品。








posted by ミッキー at 11:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月25日

パリ、セーヌの川っぺりで 4月28日公開『アダマン号に乗って』


🎬『アダマン号に乗って』ニコラ・フィリベール監督、撮影、編集/フランス、日本/109分/4月28日よりヒューマントラストシネマ有楽町、伏見ミリオン座他にて全国ロードショー公開。

パリの中心地・セーヌの川っぺりに横付けされて浮かぶ木造建築の船「アダマン号」は、精神疾患のある人々を迎え入れている。芸術文化活動を通じて彼らの支えとなる時間と空間を提供していて、社会とのつながりが持てるようサポートしている。

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フランスを代表するドキュメンタリー監督ニコラ・フィリベール。『僕の好きな先生』以来ずっと『パリ・ルーヴル美術館の秘密』『音のない世界で』『動物、動物たち』を観ている。

いつも感じることは優しいカメラの視線だ。今作もひとり一人の来船者を根気よく捉えている。

まず最初の歯抜けの男性が歌う「人間爆弾」の詩と歌のうまさに驚いた。「何があっても自分を手放してはいけない!」とダミ声で全身から振り絞って歌っていた。

ここに出てくる鼻歌のようにちょっとだけ歌う歌も、二本指でピアノを弾いて歌う歌も、ギターも全て驚くほど上手く芸術性があった。絵も単純な線、色づかいも見事な作品だった。

もう20年以上前に観たオーストリア・ウイーン郊外にある「芸術家の家」で暮らす心の病を持つ10人の絵描きたちのドキュメンタリーを思い出した。五十嵐久美子監督、編集の『遠足/"Der Ausflug"』だ。ここに出てくる人は寡黙な人が多かったが、アダマン号にくる方は前向きにお話しや創作をしている人が多かった。

このドキュメンタリーでは嵐や大雨の日がなかったが、そんな時の彼らの表情とか様子も知りたかった。




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