2023年03月19日

大阪アジアン映画祭2023(8)『私だけの部屋』『トラの旦那』

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🎬『私だけの部屋』イオセブ・“ソソ”・ブリアゼ監督/ジョージア、ドイツ/106分/日本初上映

24歳のティナ(タキ・ムムラゼ)は、ジョージアの首都トビリシで恋人と同棲を始めるまでの間、メギ(マリアム・フンダゼ)という若い女性から部屋を借りる。

若くして結婚して、まもなく離婚したティナは、職に就いたことも独り暮らしをしたこともなく、頼れるのは遠くにいる恋人だけ。一方の同居人のメギはパーティーに明け暮れる自由人でニューヨークへ行くことを計画している。

気の合う2人ではなかったが暮らしていくうちにお互いに打ち解けていくが……。

ティナの元夫との離婚の経緯も、新しい恋人との関係も彼女は他人のことなど頭にない人で事情をや行動を見ているうちに嫌いになった。反対にお金の請求も厳しく料理しないし、酒とパーティーに明け暮れるメギに悪印象を持っていたが、人に対して優しいところが見えてきた。

どっちの女性も生活の手段として職業はない。ティナはトビリシに祖母が一人暮らしをしていて、空いた窓から忍び込んで宝石を持ち出して売っている、恋人にお金を送ってと電話したりしている(最後にはお金が乏しくなってベビーシッターをしていたが)。大人しいお顔だがとんでもない女。

自分に何か大きな目的がないのにあっちこっち行っても……と老婆心で心配になった。

🎬『トラの旦那』リマ・ダス監督/インド/135分/日本初上映

インド北東部にあるアッサムの小さな町でレストランやパン、ケーキ屋を営むジャーンはみんなに頼りにされる誠実な男。コロナ禍の中で仕事、家族、地域のまとめ役として必死に奮闘する。

しかし、重いプレッシャーに疲れ果てて、酒でストレスを発散するジャーンに妻のトラは不満を募らせていく。

いい映画だった。正悪併せもっているが大仰にならずに正直に庶民の暮らしを捉えている。

トラも子育て、姑との仲など悩みがあっても、旦那が家のことより外に気を配っていても「我慢してあげてね」と声をかけたくなった。

これ公開してほしい。インドのコロナ禍の様子も現実的に入っているし、トラの家事手伝いの女に人もコロナにかかってしまい、みんなに冷たくされて、ひどいこと言われたと嘆いていた。でも10人に1人ぐらいしかマスクしていなかったり……日本の徹底ぶりがとても異様にも見えた。
posted by ミッキー at 04:25| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月18日

大阪アジアン映画祭2023(7)『マックスとミンとミャーザキ』『白日青春』

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🎬『マックスとミンとミャーザキ』パドマクマール・ナラシンハムールティ監督/インド/135分/日本初上映

音楽活動をしているマックスは同棲していたミンに恋人ができて、家具や電気製品を分けて別れたが、ミンの愛猫ミャーザキは猫アレルギーのマックスが当分の間預かることになった。

マックスと不仲の父親ラメーシュは実業家だが不眠の悩んでいてカウンセラーにかかっている。

マックスの祖父シュリダール(ラメーシュの父)は有名な古典歌謡の歌い手で今は高級老人ホームに入っている

そんな祖父、父親、息子3代のドラマ。それぞれに苦手意識があったり、女性に向き合う性格も違ったりする中でいつしか理解していくストーリー。普遍的な内容ではあるが、インド独自のカースト制、男尊女卑が重くならずにサラッと織り込んであった。

★題名のミャーザキは宮崎駿から名前をもらった猫の名前。

🎬『白日青春』ラウ・コックルイ監督/香港、シンガポール/111分/日本初上映

タクシー・ドライバーの仕事を誇りを持ってやってきたチャン・バクヤッ(アンソニー・ウォン)は、中東からの移民を見下していたが、ある思いがけない事故でハッサンの父親を死亡させてしまった。
後悔したチャンはハッサン(サハル・ザマン)を守ろうと一緒に行動するようになって……。

アンソニー・ウォンさんは第14回のこの映画祭で観客賞を受賞した香港映画『みじめな人』や1994年の香港電影金像奨(香港アカデミー賞)でアカデミー主演男優賞を受賞した『八仙飯店之人肉饅頭』でミッキーは忘れられない俳優さんになった。

今作もハッサンへの罪滅ぼしから始まった行動が、今までの自分の身勝手さに気付きはじめていくという展開がきめ細やかに描ききっていた。

★初長編のラウ・コックルイ監督は2022年金馬奨の最優秀新人監督賞と最優秀脚本賞を、アンソニー・ウォンに最優秀男優賞を受賞。

posted by ミッキー at 22:33| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月17日

大阪アジアン映画祭2023(6)『ユー&ミー&ミー』

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🎬『ユー&ミー&ミー』ワンウェーウ・ホンウィワット、ウェーウワン・ホンウィワット監督/タイ/121分/日本初上映


翌年に2000年を控えた1999年。タイに住むある一卵性双生児の姉妹がいた。見分けるのは、ほくろがある方がミーで、ない方がユーだ。

両親は険悪な状態だが姉妹は仲良く、中学生になった今でも、いつも一緒で何でもお互いのことがわかっていた。

中学3年生のある日、ミーがユーになりすまして替わりに受けた数学の追試で、鉛筆を忘れたミーにマークという男の子が自分の鉛筆を折って渡してくれた。数日後、親切にしてくれたマイクに新しい鉛筆を持って教室に行くと、友人から彼が学校をやめたことを知る。

そして夏休み。両親の仲はもっと深刻になり、母に連れられて祖母が住むメナコーンパノムナコーンパノムに行くことになった。

おばあちゃんの家にあったタイの弦楽器・ピンを見つけ習うことにしたユー。その教室でマックスに出会うが…….。

一卵性双子の監督さんが、一卵性双子を主役にして映画作り。興味津々だ。2人して食べ放題にレストランでトイレでバトンタッチして交代して1人分で食べたり、映画も、学校テストも……。

主演も一卵性?と思ったが違ってた。双子二役を演じたのはティティヤ・ジラポーンシルプ❗️双子ちゃんが同じ男の子を好きになってからの演技は見事!の一言。その初恋の行方も両親の仲も、現実的に描かれているが幸せな気分で観終えることができた。
posted by ミッキー at 07:42| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする