2023年03月22日

「TBSドキュメンタリー映画祭 2023」(1)『93歳のゲイ』『War Bride 91歳の戦争花嫁』

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🎬『93歳のゲイ』吉川元基監督/74分

長谷忠さん、93歳。押しぐるまで行動する忠さんの動きを見ていると確かに90代のお年寄りだ。だが目の光は教養を伺わせて、言葉は洞察力と知性に富んだものだった。

ご自分の好みも男性写真を切り抜いて「もし、この人と暮らしたら……」など空想していたと語っていた。一度もセックスも恋愛経験がないと聞いた時、どんな人生を歩んできたかと思うと、やるせない気持ちになった。

大阪西成の地区がこんなに穏やかな顔を持っている男の方がいらっしゃるとは思わなかった。是非公開していただきたい。


🎬『War Bride 91歳の戦争花嫁』川嶋龍太郎監督/79分

お年寄順で見ているわけじゃないけど、戦争花嫁に興味があって見た。

米オハイオ州ライマ市在住の桂子(ケイコ)・ハーンさんが、戦後歩んできた激動の人生を紹介したドキュメンタリー作品。

すぐに思い出したのは1998年に公開された松井久子監督の『ユキエ』だ。主演は倍賞美津子さん。戦争花嫁として、米国南部のバトンリュージュに嫁いだユキエ。結婚して四十年以上が経ち、夫に愛され幸せな日々を送っていたが、ユキエがアルツハイマー病に冒されてしまうというストーリーだった。

91歳の女性はいわゆる戦争花嫁ではなく自由恋愛で結ばれて結婚した。夫も真剣に交際、結婚を望んでいた。それでも周りの目はそう思わなず無遠慮な視線、辛辣な皮肉などで苦労したことが描かれていた。

敵国であるアメリカ人の夫を愛する彼女の「平和を愛し、戦争を憎む」メッセージが心に響いた。

posted by ミッキー at 23:38| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月21日

『長ぐつをはいたネコと9つの命』ミッドランドスクエアシネマにて

🎬『長ぐつをはいたネコと9つの命』ジョエル・クロフォード監督/アメリカ/104分/ミッドランドスクエアにて


帽子に羽根飾り、マントと長ぐつがトレードマークのお尋ね者の賞金首ネコ「プス」。剣を片手に。冒険をして恋もした。気が付けば9つあった命は残り1つになっていた。

急に怖くなって、賞金首でいることをやめて「家ネコ」になることにしたが、プスを狙う敵の襲来を受け、平和な生活はすぐに壊されてしまう。

そんな時、どんな願い事もかなうという「願い星」の存在を知ったプスは、再び命のストックを得るため旅に出るが……。

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猫は9回生き返るという謂れが日本にもある。まあ、執念深い性質からきたと思うが、プスネコは最後の9生目手前で残り一生と気づくのだ。

やりたいことやり尽くして愉快な人生、いや猫生なら良いじゃないかと言ってやりたいが、どんな願いも叶う「願い星」を知って旅に出るのだ。

ミッキーは吹き替えで見たが、かなりテンポが早いので字幕より良かったのではと感じた。

映像の色目は原色はあまりなくて目は楽だったし、最後に歌った曲もよかった。

★ 第95回アカデミー長編アニメーション賞は逃したが、「歌曲賞」にノミネートされてもよかったのに。
posted by ミッキー at 21:43| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月20日

大阪アジアン映画祭2023(9)受賞作品発表 『本日公休』

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グランプリ『ライク&シェア』インドネシア/ギナ・S・ヌール監督(インドネシア)
来るべき才能賞 クー・チェンドン『黒の教育』監督(台湾)
ABCテレビ賞 『四十四にして死屍死す』ホー・チェクティン監督(香港)
薬師真珠賞 ルー・シャオフェン 『本日公休』(台湾)
JAPAN CUTS Award 『朝がくるとむなしくなる』石橋夕帆監督
芳泉短編賞『燕は南に飛ぶ』リン・モーチ監督(アメリカ、カナダ、中国)
芳泉短編賞スペシャル・メンション『できちゃった⁈』パン・カーイン(台湾)
観客賞 『本日公休』フー・ティエンユー監督(台湾)


🎬『本日公休』フー・ティエンユー監督/台湾/106分/海外初上映

アールイ(ルー・シャオフェン)は40年の間、常連客に支えられて理髪店を営んできた。それなりに問題はあるが子どもらは独立して、彼女の日々は穏やかに過ぎていく。

そんなある日、遠くの町から通い続けていた男性客が病で来られなくなったことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、彼の散髪をするために、古い愛車VOLVO 240GLに乗り込み駆けつけるが……。


この地味な台湾映画に心を奪われた。ミッキーが50年間ずーっと通っていた美容院の先生のことも思い出して涙がとまらなかった。先生も入院した顧客に病院に行ってシャンプーや頭皮マッサージしていたこと、一式に道具が詰まった大きな鞄も思い出した。

20年ぶりに復帰されたルー・シャオフェンのことは知らなかったが、ハサミやカミソリを持つ手は熟練の理髪師のように感じた。

撮影場所は監督のお母さまの今も営業されているお店。お店のガラスには「家庭理髪」と書いてあって「学生頭、山本頭、西装頭、平頭」と書いてあった。会場には監督のお母さま来阪。お店に「本日公休」の札をかけてきたのだろう……。


posted by ミッキー at 07:30| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする