🎬『柳川』チャン・リュル監督、脚本/中国 、日本、韓国/112分/12月30日より新宿武蔵野館他にて全国順次ロードショー公開。
自分が不治の病であることを知った中年男・ドン(チャン・ルーイー)は、しばらく会っていなかった兄・チュン(シン・バイチン)を誘い、日本の柳川へ行くことにした。柳川は北京語で「リウチュアン」と言って、兄弟が青春時代に愛した女性「柳川(リウ・チュアン)」と同じだった。
その女性は20年ほど前にチュンの恋人だったが、ある日突然姿を消してしまった。今はその柳川で暮らしていて、理由を知りたくて、チュアン(ニー・ニー)に会いに行くのだ。
『キムチを売る女』『豆満江』のチャン・リュル監督が、2019年製作の「福岡」に続いて日本を舞台に撮りあげた人間ドラマ。福岡県南部の柳川市を舞台に、喪失感を抱える人々の心情を静かに描いている。
日本の柳川と言われてもどこにあるかわからないミッキーだが「柳川鍋」は知っている。調べてみたら柳川は福岡県にあって、柳川鍋の発祥地でもあるらしい。町には堀割(地面を掘ってつくった水路)がいくつもあって郷愁があるのんびりとした町の風情があった。
そんな町のライブハウスでチュアンは静かな声で歌っている。ムードのある歌い方で客は数人だが熱心に聴いている。そんな中に兄弟は知らせもせずにお店に入っていくが、歌い終わったチュアンは、昨日まで会ってたように2人の席につく。
何もかもチャン・リュル監督の世界にどっぷりはまり込んで、柳川の飲み屋(中野良子さんが女将)や宿(池松壮亮が屋敷の一部を旅館にしている)に同行させてもらった気分になった。
もちろん、兄弟とチュアンの心情はちょっと複雑だが、「柳川時間」で真実が明かされていくテンポは心地良かった。
★柳川出身では有名な北原白秋。オノヨーコさんは東京出身だがご先祖本家が柳川。