ドイツ・ハンブルクの郊外にナチスによって建てられたノイエンガンメ強制収容所がある。ここには、終戦までにユダヤ人や捕虜、政治犯など約10万人もの人々が収容されたいた。
1944年11月。この収容所にアウシュビッツ強制収容所から20人のユダヤ人の子どもたちが「結核の人体実験」の目的で送られて来た。実験によって衰弱した子どもたちは、ドイツの敗戦が色濃くなった1945年4月20日の夜、証拠隠滅のためナチスによって殺害された。

東監督さんは、戦前・戦時中に中国に渡り、敗戦による混乱の中で現地に置き去りにされた「中国残留婦人」を巡るドキュメンタリー『花の夢 ある中国残留婦人』 1945年8月、長崎と広島に投下されたふたつの原子爆弾から生きのびた被爆者たちとの対話を通し、戦争や人間の本質に迫ったドキュメンタリー『美しいひと』など、戦争をテーマにした作品を製作してきた方。
ナチスの人体実験で幼い命を犠牲にした「悲劇」に、向き合い続ける人びとの姿を描いたドキュメンタリー。
子どもを使って人体実験までしていたとは……一人ひとりの写真がクローズアップで映ったが可愛らしい子たちばかりだった。よくもこんな子らを結核菌を植え付けたり、終いには命を奪って証拠隠滅を図ったり、到底人間のやることではない。暗い気持ちになった。
ナレーションがこれまた変な思い入れがあって映画の品格を落としていた。音楽の選曲、作曲、ピアノの音色の良さが際立っていた。
★この作品は今年9月に開催した「あいち国際女性映画祭」のオープニングを飾った。