2022年09月10日

あいち国際女性映画祭2022(3)『SECRET NAME』『ザクロに遠吠えする頃』


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🎬『SECRET NAME』オーレリア・ジョージズ監督、脚本/フランス/112分

時は第一次世界戦争下のフランス。身寄りもない若い女性ネリー(リナ・クードリ)は貧しさのために身を売ることもあった。亡くなった祖父からもらった本だけが宝物だった。その本のおかげで赤十字に誘われて戦地で救護活動をするようになった。

そんな彼女の前に、ローズ(モード・ワイラー)が現れた。ローズは良家のお嬢様で天涯孤独になり、知り合いを頼って行く途中だった。戦況が悪化して宿舎に留まったローズはネリーと歳も近いこともあって身の上を話すようになった。だがドイツ軍の攻撃でローズは死んでしまう。

ネリーはローズになりすましてローズが頼って行こうとした裕福な家を訪ねていく。


完成度が高い作品。スリリングな内容なので公開もあり得ると感じた。

ネリーのとっさの行動は命からがらの戦況下で生きていく娘にとって責めることはできない。いろんなことを二人して話していたので、金持ちのお年寄りエレオノール夫人(サビーヌ・アゼマ)にも疑られず、すんなりと「読書係」となった。家事は下女がやってくれて、彼女の個室が用意され、図書室も出入り自由。

彼女の遠慮がちでおとなしい態度、本を読む声の美しさなどで大層夫人に気に入られていく。

だが話はこれから。ローズは気を失っていただけで生きていたのだ❗️この女は偽者と言えば言うほど頭がおかしいと思われて精神病院に‥‥ちょっとローズが可哀想なお話。もし公開されたらご覧いただきたい。

🎬『ザクロに遠吠えする頃』グラナーズ・ムサウィー監督、脚本/アフガニスタン、オーストラリア、オランダ、イラン/83分

紛争が続くアフガニスタンのカブールに住む9歳の少年ヒュワード(アラファト・ファイズ)は父親を戦いで亡くしてから、一家の唯一の働き手だ。

家の近所で木製の荷車にザクロ、野菜などを乗せて売り歩いている。道は狭く坂道が多いので幼いヒュワードには大変な仕事だが、映画スターやサッカー選手になって祖母や母親、妹を楽させてあげたいと夢を持っていた。

祖母は父親の弟を呼びつけ遺された嫁と結婚するように諭すが、叔父もその気はなく、もちろんヒュワードはお母さんが叔父と結婚してほしくないと思っていた。

アフガニスタンの状況を、深いつながりのある隣国イランの女性監督が作った物語。

映画に出てくる方はほぼ演技経験のない人だが、大人も子どももその日の食べるものの心配をして、学校などはいくこともできない状態。そんな中でも「子どもの楽しみ」があるシーンもあって希望を持てたが、それも束の間、最後の一瞬の出来事で、体が硬直してしまった。
posted by ミッキー at 06:46| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする