2022年06月20日

『上意討ち 拝領妻始末』岐阜ロイヤル劇場にて

🎬『上意討ち 拝領妻始末』小林正樹監督/128分/1967年

1725年(享保10年)、会津松平家に仕える300石・笹原伊三郎(三船敏郎)は、藩の御側用人から長男・与五郎(加藤剛)に「藩主のお手付きの女を貰い受けろ」という縁談が持ち込まれた。

気乗りしない伊三郎と与五郎だったが、藩命には逆らえず結婚を承諾。新しく来た嫁のいち(司葉子)は姑(大塚道子)いびりにも文句をひとつ言わず、よく働く良妻であった。

噂で聞くように、殿に反抗して殴りかかるような女には見えなかった。夫婦の仲も睦まじく女の子を授かった。

そんな時、藩主の嫡子が急病により他界、いちの子が新たな世継ぎとなったのである。いちは世継ぎの生母となり、生母を藩士の妻に させておくわけにはいかないということになって、いちを奥に戻せとの命が下された。理不尽な藩命にいちも与五郎も断固拒絶したが……。

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こんなに深く人間の心を描いた時代劇は稀だと感じた。今までの三船とは違う「生身の人間」を現していた。婿養子にはいり、奥方の尻に引かれて、じっと言うことに逆らわず20年以上我慢してきた男が、初めて謀反を起こす。殿にも家にも自分の思いを貫く三船が眩しかった。

若妻を演じた司葉子さんの美しさがモノクロの画面に映えていた。名作だけあって普通に日より観客は多かったように思えた。

★第28回ヴェネツィア国際映画祭で国際映画評論家連盟賞受賞。昭和42年キネマ旬報日本映画第1位。
posted by ミッキー at 21:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする