2022年05月19日

オンラインでイタリア映画祭(1)『小さなからだ』『マルクスは待ってくれる』

今日『エリザベス 女王陛下の微笑み』の試写だった。半生をたどるドキュメンタリー。でも「駆け足」だった。90分を150分ぐらいにしてじっくり見せてほしかった。公開は来月。また改めて載せる予定

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🎬『小さなからだ』ラウラ・サマーニ監督/89分

20世紀初頭のイタリア北東にある海辺の村。若い妻アガタ(チェレステ・チェスクッティ)は初めて産んだ女の子が死産だった。産声もあげなかったので洗礼も受けられず悲嘆にくれていた。

村の男イニャクから「死んだ赤子に洗礼を受けさせてくれる教会がある。ドライス渓谷に行け」と言われて、埋めてあった遺体を掘り起こし、箱に入れて、一人で山奥の渓谷に向かう。


静かな作品だった。産声もあげなかった(ひと呼吸もしない)赤子には洗礼は受けられない。受けられないと永遠に地獄をさ迷うと信じていたアガタは必死に木箱を大切に抱えて渓谷を目指すが、途中、木箱に金目のものが入っていると勘違いして近づく若者や、途中で乗せてもらった馬車が盗賊にあったりして辛い旅路になる。

それでも、あまり悲愴感はなく見終えたのは、アガタに最後まで同行した若者(オンディーナ・クワドリ)の気持ちの変化に寄るところが大きい。


🎬『マルクスは待ってくれる』マルコ・ベロッキオ監督/90分

『夜よ、こんにちは』『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女 で知られるマルコ・ベロッキオ監督の半生を描いたドキュメンタリー。

ベロッキオ監督は双子でベロッキオ監督がまず産まれて、双子とはわからず4時間後に弟のカミッロが産まれた。死産と思ってすぐに司祭を呼んで洗礼を受けた(先に見た『小さなからだ』にも通じる)。その後で息を吹き返して教会で正式に洗礼を受けた。

双子で産まれた二人がたどる道は、世界に有名な映画監督、もう一方は親の望む測量士をいやがり体育教師となった。だが弟カミッロは29歳で自死。

ドキュメンタリーは監督の実姉たちの家族、友人、愛人の妹等々が当時をふりかえっている。

★監督の『ポケットの中の握り拳』『中国は近い』は見ていないのDVDを探してみる。
★1作品1500円の価値はある!作品。

posted by ミッキー at 15:44| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月18日

花開くコリア・アニメーション2022+アジア

今日の正午から始まる「花開くコリア・アニメーション2022+アジア」を全部見る予定。2000円で1週間ずっといつでも何回でも見られる。

詳しくは https://anikr.com/2022/ まで。

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★『青い巨人』ノ・ギョンム監督/約7分
体の大きな青い色の男は狭い家の中では身動きもままならず、思いきって外に飛び出す。自然の山や森、そして遠くに光を放つ宝石のようなものを見つけて取ろうとするが、自然の中では「巨人」ではなくなり「小人」にいつの間にかいろんな動物たちに狙われてしまう。安住の地はやはり元の小さな自分の家と気付く。

★『海の上の星』チャン・スンウク監督/6分と少し
二人の子どもとお母さん。雨がひどく降ってきた。雨漏りがひどくなり管理人さんに修理をお願いするが、水はどんどん浸水。
流されていく親子、岩の上に取り残されるが……、いつの間にかシロクマの親子に変わっていた。あ、これはシロクマの危機を知らせたかったアニメと気付いた。音楽、アングル、色合いが素晴らしく、最後のSOSの文字も効果的に使われていた。訴える力は大きい。

★『鱗』オ・イスル監督/韓国、イギリス/3分と少し
海から魚をつかまえて金魚鉢に入れた。いつも見つめていた少女はいつの間にか自分の体にぽつんぽつんとウロコが光るようになって……。輪郭や表情がわあわとした絵柄で、水の中や魚の世界を優しく描いていた。

★『乾電池パパ』チョン・スンベ監督/6分20秒
乾電池は家庭のいろんなところで大活躍。子どものおもちゃ、テレビやエアコンのリモコン等々。乾電池パパは人間家族と川にピクニックにいくが雨が降って岩に孤立してしまう。水にぬれてしまった乾電池パパは、一生懸命頑張って光を放ったので、無事救出bされた。
久しぶりに乾電池パパは休暇をもらって家に帰ると小さくてかわいい「乾電池っ子」がわらわらと集まってきて、今日一日の疲れがふっとんでいく乾電池パパだった。手作りの乾電池が温かみがあった。

★『肉食もやし』ソ・セロム監督/約4分半
女声の解説が機械的な奇妙さがあって面白かった。ちょっと気持ち悪いもやし。まるで化け物ようでゾッとした。

★『フローティング・メモリーズ』オク・セヨン監督/4分と少し
音楽と実験的な映像に釘付けされた。新しい才能のアニメ作家!

★『ボリよ』ミン・ソンア監督/韓国、フランス/17分と少し
7歳の少女ボリの退屈な一日になるはずだったが、この一日は牛と一緒に散歩に出かけたが、うとうとしているうちにいなくなってしまったり、川に溺れかけたりと大変な日になってしまった。しょんぼり家に帰ると牛はちゃんと先に帰っていた。畑仕事から帰ってきたお母さんに「ボリは、食べる時間になると帰ってくるね」とわらわれて……。幸せな気分になった。田園風景が素晴らしく、動いてないように思う「麦の穂や草」がちょっとだけ一部が動いていて芸が細かい。

★『May・JEJU・Day』 カン・ヒジン監督/約14分
「済州島虐殺 四・三事件」を実際のフィルムも使い音声は事件を体験した方々で作られている。6月公開の『スープとイデオロギー』(家族の国、ディア・ピョンヤンのヤン・ヨンヒ監督作品)と重なった。

★ 『夜行バス』シェ・ウェンミン監督/台湾/20分
夜中に走る乗り合いバス。そこで若い女性のネックレスが盗まれた。犯人はすぐわかるが、その男をはめようとした陰謀があって……。20分でもウーンと楽しませてくれたホラー!ストーリー展開に無理がなかった。

一つか二つ見ようかと思っていらっしゃる方はこれは絶対外さないで! どのアニメも力作揃いだがミッキーおすすめは『海の上の星』『May・JEJU・Day』』『夜行バス』の3作品。
posted by ミッキー at 03:42| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月17日

『ニトラム』名古屋伏見ミリオン座にて

🎬『ニトラム』ジャスティン・カーゼル監督/オーストラリア/112分

1990年代半ばのオーストラリア・タスマニア島。観光しか産業のない土地で両親と暮らす青年ニトラム(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、幼いころから周囲になじめず孤立し、同級生からもバカにされてきた。

そんな息子にガミガミと干渉する母親(ジュディ・デイビス)、母親から庇うように優しく接する父親(アンソニー・ラパリア)の家庭だったが、思い通りにならない人生を送っていた。

小遣いかせぎのために芝刈りのアルバイト先で、数頭の犬を飼っている金持ちの中年女性ヘレン(エシー・デイビス)と出会い、意気投合して同居するまでになった。

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ずっと観たいと思っていたが時間が合わず、今日になってしまった。ミッキー好みの実話物。

1996年4月28日、オーストラリア・タスマニア島の世界遺産にもなっている観光地ポートアーサー流刑場跡で起こった無差別銃乱射事件を映画化。事件を引き起こした当時27歳だった青年が、どうして犯行に至ったのかを克明に追っている。

母親の心配する気持ちはミッキーにも伝わって来たが「突き詰め」過ぎで、父親は優しい人だが、幼い男の子に銃を与えていた優柔不断な男。この神経質で変人の青年のボサボサの長い髪、いつも着ている白いセーターなどが、彼の精神状態を表していた。

★主演の青年ケイレブ・ランドリー・ジョーンズは2021年・第74回カンヌ国際映画祭で男優賞を受賞している。
★オーストラリアはこの事件をきっかけにして気軽に銃が買えなくなったらしい。
posted by ミッキー at 21:53| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする