『ガガーリン』ファニー・リアタール、ジェレミー・トルイユ監督、脚本/フランス/95分/ミッドランドスクエアシネマにて
パリ東郊に位置する大規模公営住宅ガガーリン。宇宙飛行士ガガーリンの名を持ち、この団地で育った16歳のユーリ(アルセニ・バティリ)は、宇宙飛行士を夢見ているが、かつて自分を置いていった母の帰りを待ち続けていた。
ところがある日、老朽化と2024年パリ五輪のため、ガガーリン団地の取り壊し計画が持ち上がる。住人たちの退去が進む中、ユーリは母との大切な思い出が詰まった団地を守るため、親友フサーム(ジャミル・マクレイブン)や気になっている少女ディアナ(リナ・クードリ)とともに、取り壊しを阻止しようと立ち上がるが……。
始まりはガガーリンさんがこの団地の祝典に参加した時のニュース映像が流れた。にこやかに手をふるガガーリンさん一目みようと大変な数の人が集まっていた。
そして時は流れて、現在。2024年に開催されるパリオリンピックのために老巧化したこの団地の取り壊し計画が本決まりになろうとしているガガーリン団地。
東京でも同じ理由で立ち退きが迫らたドキュメンタリーに『東京オリンピック2017 都営霞ヶ丘アパート』があって、どこの国もしわ寄せが庶民に押し寄せる構図になっていた。
ここに住む青年は思い出深い団地を守るために、そこで生き延びるために友人2人の助けをかりて、8階と屋上に密かに基地を作り始める。自家発電、野菜作りなど、想像以上のもので驚くが、刻一刻と爆破の時は迫ってくるシーンはハラハラさせてくれた。
団地最後の日も映画の始まりと一緒で、たくさんの人で埋まっていた。
★ミッキーも下の子が10歳まで公団アパートに住んでいた。2人の娘たちはその頃の話になると目を輝かせている。どこのお宅にでも上がり込んでついでにおおやつをもらったり、時には風呂、食事までいただいたりして思い出はつきないようだ。取り壊し前には写真を撮りに行った思い出もある。
★映画で団地を見ると「一つ一つの窓の灯りに映画の題材かある」ように感じるので、団地が舞台の作品は素通りできない。