🎬『ゴヤの名画と優しい泥棒』ロジャー・ミッシェル監督/イギリス/95分
1961年、世界屈指の美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画「ウェリントン公爵」が盗まれた。この事件の犯人はごく普通のタクシー運転手である60歳のケンプトン・バントン(ジム・ブロードベント)。長年連れ添った妻(ヘレン・ミレン)とやさしい息子(フィオン・ホワイトヘッド)と小さなアパートで年金暮らしをする男。
街角に立って「ナショナル・シアターにゴヤの名画を展示する費用があるなら、日々の楽しみが少ない高齢者や退役軍人のためにBBCの受信料を無料にすべき」と演説したり、署名活動していた。
そんな男が名画を盗んだとなって世間は大騒ぎ……。
これ、実話!正義感満々の少年がそのまま大人、いや、初老まで育った紳士が起こした(?)とんでもない盗みだ。
奥様のイライラ、怒り、諦めなどにミッキーも同情したりハラハラしたりするが、それに上回る「夫婦愛」「家族愛」が描かれていた。
本当はもっと苦労したはずだと思うが、最後ににこやかに笑っている「ご本人」をみて、「この方なら許せるかも」と思った。
夫を演じたジム・ブロードバンド、妻を演じたヘレン・ミレンのご両人、きっと撮影中も楽しんでいたように感じた。
★ 監督は『ノッティングヒルの恋人』『恋とニュースのつくり方』『私が愛した大統領』などで知られ方。昨年9月に65歳の若さで他界。ドキュメンタリー映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』(6月にTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国にて公開)が遺作。