🎬『なれのはて』粂田剛監督、撮影、編集/120分/今池シネマテークにて
マニラの貧困地区で住む「困窮邦人」と呼ばれる高齢の日本人男性たちの姿を追ったドキュメンタリー。
かつては警察官、暴力団員、証券会社員、トラック運転手で、家族もあったが、何かの理由でマニラで日々を送る男性たち。
半身が不自由になり近隣の人々の助けを借りてリハビリする男、連れ添った現地妻とささやかながら仲睦まじい生活を送る男、便所掃除をして物置部屋に身を寄せる居候している男、バスの乗客を各方面に呼び込みでフィリピンの家族を支える老人男性。彼らの日常とスラムの人々の姿を捉えている。
あえて土日は満員と思って今日いったがほぼ満員。字幕がスクリーン下に出て、小さな文字だったので一番前の座布団席に素早く移動した。
海外移住して老後を海外でという話はよく聞く。そんな人たちは年金やたまに帰っても家があるというレベルの方々。今日観たのはわけあって「マニラの貧民街」に流れついた方。
皆さんお金もないが「歯」も数本ない。でも明日(将来)のことを考えなければ、その日、仕事すればいくばくか入って来て2、3日はなんとかしのいでいた。
ある時払いの催促なしでも必ず払ってくれる人を「人間をみて親切にしてくれる」場所。
家(日本人の感覚ではバラック小屋)も狭いし、汚いし、臭いし、虫もいるだろうし、とても住めたものじゃない。でも、この作品、なれのはてのなれは「慣れ」でもあるような気がする。住めば都とはいかないが、住めば「安住」の住処であろう。
数人お亡くなりになったがあちらの世でも安住しているに違いないと悲しみはあまりなかった。
★ここに出ている男性は若い頃は間違えなく「ハンサム」、これが普通?ならこうなったか……と、ふと考えてみた。