食べるものはほとんど、汁もの、鍋物でそれを作って同じものを3度食べている。トホホの食事内容だ。
🎬『誰かの花』奥田裕介監督、脚本/115分
横浜郊外のとある大規模団地。鉄工所で働く孝秋(カトウシンスケ)は痴呆症が進み徘徊する父・忠義(高橋長英)と、父の行動に振り回されている母・マチ(吉行和子)が気がかりで、たまに様子を見に行っていた。
そんなある日、強風のためにベランダから植木鉢が落ちて、引っ越してきたばかりの一家の父親が死亡する事件が起きた。植木鉢の持ち主も、死んだ男の家族も、同じ棟のお隣だったり上下の位置だったりで、事故後もエレベーターに乗り合わせるようになって……。

見応えがあった。団地やマンションに住んでいたらどこでも起こりそうな事件だ。想像をたくましくして見入った。強風で落ちたとはいえ、落ちるような所に置いた責任があって裁判になる。しかし忠義を介護をしていた女性が、彼の手袋が泥で汚れていたことに気付いて、この事件と何か関係があるのではないかと孝秋に告げる。
孝秋の胸中は複雑だ。それぞれの家庭の事情や家族に対しての想いも「痛み」と「温かみ」両面で丁寧に描かれていた。宣伝などあまりされていないが是非ご覧いただきたい佳作。