2021年11月20日
ドイツ映画祭Horizonte 2021(3)『悪は存在せず』『システム・クラッシャー 家に帰りたい』
🎬『悪は存在せず』モハムド・ラスロフ監督/151分
『悪は存在せず』はイランの死刑制度を軸にいろんな立場の執行人4人の話でできている。
見応えあり。この作品は去年の東京国際でかかったもの。
思い出したのは吉村昭の『休暇』だ。主演は、刑務官平井に小林薫、死刑囚に西島秀俊だった。刑務官の平井は死刑執行時の支え役を(落下する死体を下で受け止める)やると7日間休暇がもらえるので、新婚旅行に行こうと、皆が嫌う支え役を願い出る……という話。
この作品も明日日曜に上映される。
★イランの映画監督モハマド・ラスロフが死刑制度を中心に4つの話を展開するドラマ映画。ベルリン国際映画祭にて金熊賞を受賞。監督は何度もイラン政府から映画製作の禁止や出国の禁止などを受けている。
🎬『システム・クラッシャー 家に帰りたい』ノラ・フィングシャイト監督/118分
色白で金髪の9歳の少女ベニーを当分忘れそうにない。悪夢に出てくるかもしれないほどだ。一度怒りに火がつくと手がつけられなくて、警察が身体を拘束するほど凄まじいのだ。
この役を演じることができる子役など世界中をさがしてもそういるもんじゃない。声も怒声、狂気の声と難なく出している。お名前から見ると女性監督のようで、長編デビュー作とか。
ベニーの周りにいる実母、施設の人がどんなに親切に心を砕いてもベニーに押し寄せる激情にはなすすべもない……。これ一本でくたくたに疲れた。だが一般公開してほしい作品だ。
★『ベルリン・アレクサンダープラッツ』に出たサイコパス男ラインホルトを演じたアルブレヒト・シャッフさんは、この作品では仕事熱心な介護人で、ベニーを連れて山中で2人っきりで過ごすケアをやっていた。