🎬『フォーリング 50年間の想い出』ビゴ・モーテンセン監督、脚本、製作、音楽/カナダ、イギリス/112分
飛行機パイロットのジョン(ビゴ・モーテンセン)は、パートナーのエリック(テリー・チェン)と養女モニカ(ギャビー・ヴェイルス)の3人でロサンゼルスに暮らしていた。そこに、田舎で小さな農場をやっているジョンの父ウィリス(ランス・ヘンリクセン)が「認知症になったようなので、住むところを探したい」とジョンの家にやって来た。
ジョンは幼い頃から保守的で横暴な父とは上手くいっていなかったが、父がそう言ってくるならと、向かい入れた。
『グリーンブック』の俳優ビゴ・モーテンセンが監督デビュー。自身の親子関係を反映させた半自伝的な脚本をもとに描いたヒューマンドラマだ。
父親は気弱になって息子に頼って来たが、自分でそう言って来たことも忘れる始末。久しぶりにジョンの妹(ローラ・リニー)も子どもを連れてきても、汚い言葉で罵倒したり、同性婚をしているジョンにも平気で悪い冗談や蔑みの含んだ言葉を吐く。ジョンは自分の体から湧き上がる怒りを抑えて精一杯面倒を見る。
認知症で過去と現在を行き来する父と向き合ううちにそれぞれの50年間の記憶がよみがえって来て、父親の本当の気持ちに気づいていく。
なんて横暴で嫌なタイプの年寄りと思ってみていたが、最後は「可哀想な人」だったと思い直した。
★ジョンの妹の子は父親の本当の孫。ジョンたちの養女モニカは父から見れば他人だが、この女の子だけ父親は気を許していた。モニカもおじいちゃん大好きと言っていた。この子役さんの笑顔にとっても救われた。
★2020年・第73回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション作品。