Netflix『ボクたちはみんな大人になれなかった』森義仁監督/124分
洋菓子製造工場で働く佐藤誠(森山未来)は文通をしていたペンネーム・犬キャラこと加藤かおり(伊藤沙莉)と初めて会った。「普通」が大嫌いと言う個性的なかおりに瞬く間に恋に落ちる。彼は生まれてはじめて「頑張りたい」と思うようになった。
そんな佐藤は小さなテレビ制作会社に就職して、テレビ画面に出るテロップを作る仕事に就く。忙しい仕事に明け暮れる日々が続く中、インドからかおりの絵はがきが届く。「こっちにおいで」と書いてあった。その後、何も言わずに別れた2人。
そして今2020年……。
伊藤沙莉さんと池松壮亮の主演映画『ちょっと思い出しただけ』はどちらかというと女の方が主体となって過去を思い出しているが、この『ボクたちはみんな〜』は男が主体となって過去を振り返っている。
振り返る時も25年と長い(1996〜2020)。その間にいろんな物が変わり、生活もどんどん忙しくなって「自分」が埋没していく様子が丁寧に描かれていた。
どんなに「普通」が嫌と思っても、その「普通」が手に届かない人が多い今……やるせない気持ちになった。