2021年11月05日
第34回東京国際映画祭(6)『チュルリ』『洞窟』
🎬『チュルリ』リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ監督、プロデューサー/インド/115分/ガラ・セレクション
インド南部にあるケララ州の刑事二人が、山奥のそのまた山奥にあるチュルリ村に働き口を求める労働者を装って入る。その村に「穴堀」をする労働者が集められていて、そこに犯人が逃げ込んでいるという情報を得たからだ。だが二人の刑事は予想もしなかった事態に合って……。
前作が『ジャッリカットゥ 牛の怒り』の監督さん。
前作と今作でケララ州=不気味な地域となりそうだが、調べてみるとヨーロッパの人たちに人気の観光地で「インドの楽園」と言われているそうだ。
さてこの映画、前作より人間臭くなっていて、二人の刑事を手玉にとって翻弄させる。
穴堀の男は留守で、二人は男が帰るまでこの山奥の食堂の二階で寝泊まりさせてもらう。代わりに掃除などでこき使われる。
この地に住む男はごっつい男ばかり、女もいるが女は男に負けていない妻とまじないのおばさんだけ。野蛮な暮らしの中でも意外や牧師が来て産まれた子どもの洗礼式はまともに執り行う。
★全般的に荒々しい場面が続き、そのエネルギーに負けそうになりながら見終えた。やっぱり、疲れる、憑かれる、の作品だった。
🎬『洞窟』ミケランジェロ・プランマルティーノ監督、脚本/イタリア、フランス、ドイツ/93分/ワールド・フォーカス
イタリア南部にあるカラブリア地方で前人未到の洞窟を探索した時の様子をドキュメンタリー風に再現している。
世界でも第3位の深さの洞窟は1960年に若い洞窟学者グループが発見、測量をしている。その深さは700メートル。
その一方の地上では古い小屋に住む牛飼いの老人が声の合図で牛たちを放牧していた。そばには探検隊のテント。地下の神秘と素朴な地上の営みを淡々と映し出していた。
★撮影はレナート・ベルタ(『ラ・パロマ』『さよなら子供たち』)