2021年11月02日
第34回東京国際映画祭(3)『親密な他人』『なぎさ』
🎬『親密な他人』中村真夕監督/96分/Nippon Cinema Now
46歳のパート販売員・石川恵(黒沢あすか)は、1年前に行方不明になった最愛の息子・心平の帰りをずっと待ち続けていた。そんな時に、心平にネットカフェで会ったことがあると言う20歳の謎の青年・井上雄二(神尾楓珠)が現れる。
心平のことを小出しにしながら金を要求する青年だったが、次第に親子のような、恋人のような不思議な関係になって……。
女郎蜘蛛の吐きだす糸に絡みとられた虫(青年)の図だ。だまそうと近づいたが女の目的は、そんな生易しいものではなかった。異色ホラー作品だ。この女性監督さんが、山形ドキュメンタリー映画祭でミッキー一押しの『ナオト、いまもひとりっきり2020 』の監督さんとは❗️こんなに振り幅の大きい作品を作られるとは……。
★ 黒沢あすかさん、いびつで不気味な母性を持つ女を演じ切っていた。
🎬『なぎさ』古川原壮志監督、脚本、編集/87分/Nippon Cinema Now
長崎から3年前に上京して、中華屋の調理人をしている兄(青木柚)は、店の仲間たちと訪れた山奥の心霊スポットのトンネル内で妹の幽霊に出会う。そこは妹(山崎七海)が事故死した現場だった……。トンネルの暗闇の中を、兄は妹を探しさまよう。
ほとんど、きっとこうじゃないか……と想像しながら見た。兄と妹は異常に思えるほど仲が良く、2人で料理したり、風鈴作りをしたりするシーンもあった。でも1シーン1シーンが長くなくて、観ている者にはほとんど説明されていない。
一般向けする作品ではないし、わからないことだらけだったが、兄の妹を想う気持ち、後悔の念が画面に浮かび上がっていた。
★主役の青木柚さんはこの映画祭で上映される『スパゲティコード・ラブ』『よだかの片想い』に出演している。