2021年10月09日

山形国際ドキュメンタリー映画祭をオンラインで(2)『駆け込み宿』『異国での生活から』『スープとイデオロギー』

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詳しくは http://yidff.jp/

🎬『駆け込み宿』スー・ユーシェン監督/台湾/54分/2021年/アジア千波万波

ベトナムから出稼ぎで台湾に来た労働者が暮らすとある会社の寮。数人の若い女性たちは会社の長時間労働、約束の賃金の不払いなど不満がつもり積もって会社に無断で休んで抗議している。

こんな狭苦しい場所で寝起きしているとは!始めの映像だけで驚いた。二段ベッドの上は荷物置き場で下は私物と寝る場所、ベッドの柵まわりにはあらゆる生活用品や服が隙間なくかけてある。部屋(二段ベッドの下)を覗かれないようにしているようだ。

仕事ボイコットのリーダーと会社側の「彼女らを説き伏せる役目」の女性が意外と冷静に話し合っている。会社側の女性も彼女らの境遇を経てその地位についたらしく「本国強制帰国にならないように会社側にお願いしてあげるから、こんな抗議はやめよう」と説き伏せるが、なかなからちがあかない様子だ。

だが、抗議するプラカードを作ったり、芝居でもって疲れて苦しんでいる様子を稽古?したりしているのを見て、どうなっているのか混乱した。

最後には砦のようになっていた二段ベッドもきれいに片付けられて……。

★台湾の会社のやり方(そう悪質でもない)とベトナム女性のエネルギーに翻弄された。

🎬『異国での生活から』ツォン・ウェンチェン監督/台湾/87分/2020年/アジア千波万波

2019年に台湾で働く外国人労働者は71万人以上。そのうち5万人が「逃亡労働者」だ。
このドキュメンタリーはそんなベトナム労働者2人を追っている。

一人はベトナムで元地方の新聞記者をしていたファン・タオ・ヴァンさんはふくよかな中年女性。ベトナムには息子と母親が住んでいて、毎月仕送りをしている。

彼女は台湾に来た時から3年間は居心地のよい家庭の家政婦だったが、契約期限切れでそれ以上の契約ができなくて、切れると自動的に帰国しなければならず、やむなく置き手紙をおいて逃亡労働者になった。

それからの彼女の生活や生き方は、苦しい中にあっても尊敬に値するものだった。

もう一人の方はファン・タオ・ヴァンさんの知人男性ズイ・フン。彼は最初の工場では給料がもらえず、要求すると首になり、バス代もなく7時間歩いてたどり着いた町で一人の親切な老人に廻り合い、苦しいながらも働く場も見つけることができた幸運な人。

彼は絵の才能がありベトナム人の苦しみを絵筆で表していた。

その他、いろんな逃亡労働者の方々の苦しみも描かれていて、一つ前に見た『駆け込み宿』に通じる点もあった。

🎬『スープとイデオロギー』ヤン・ヨンヒ監督/日本、韓国/118分/2021年/インターナショナル・コンペティション

『かぞくのくに』『ディア・ピョンヤン』のヤン・ヨンヒ監督の「ヤン家一族ドキュメンタリー第3弾」だ。

『ディア・ピョンヤン』にも出ていた監督の87歳になる母が今まで語ってくれなかった半生を描いている。

それは、日本に来る前、監督の父と巡りあう前の出来事。

彼女は「済州島虐殺の四・三事件」で婚約者を失い、島内の不穏な状況下、幼い弟の手をひき、妹を背負い命懸けで日本に渡ってきた記憶を語り出した。

「済州島四・三事件」では島の6人に1人が虐殺された(2万5千人以上)ことは始めて知った。70年以上前の無惨な虐殺事件だ。この作品の最後の方で監督、監督の夫(優しそうな日本の方)、お母様と三人で済州島事件の追悼式に参加するために何十年ぶりに故郷に帰ったオモニはあまりの変わりように言葉を失っていた。

★90歳近いお母様の美しさと日本語、朝鮮語ミックスのお話ぶりが印象に残った。
posted by ミッキー at 20:41| Comment(0) | 映画祭・映画関連催し | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする