自滅の道に向かっていく弟に、いったい何が起きたのか。突き刺さる現実にシャッターを切ることができない達也。三男(金子ノブアキ)も現実を受け取められずにいた。
達也はカメラを手に名古屋を歩き、家族や周りの人々の過去のことを思い出していた。

この作品は名古屋が撮影地とあって全国公開より早くに上映されていたが、なんとなく飛び付いて見る気持ちになれずに11日金曜日の全国公開初日初回で観た。観客は35人ほどでやはり地元だから多かった。
もっと早くみるべきだったと後悔したし、身体に受けた衝撃は精神にも及んだ。
これを観た夜中にミッキーが泣いているような感覚で目覚めた。よく夜中に起きるのだがその時は確かに涙が浮かんでいた。
どうしたのかと考えていたら、オダギリジョーがちゃぶ台に箸を並べるシーンと箸を買うシーンが夢に出てきたことがぼんやりわかった。
監督さんはゴミの山にうずくまっている弟に「おい、一度ニューヨークに来ないか、お前なら英語が抜群だから俺が世話しなくてもいいから、遠慮なく来いよ」と言ってあげて欲しかった。監督もきっとそんな後悔の念があったのだろうことが後からのシーンでわかった。
悲しくて重い作品と分類されそうな映画だが、日比監督じゃないと描けないと感じた。
★名古屋がこんな美しい町とは知らなかった。