2021年01月02日

2020年・洋画ベストテン(順位なし)

映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』谷垣健治監督/中国/96分/名古屋109シネマズにて

今年一本目は大満足の映画だった。元旦は6時に起きて家で☕️、トースト(きんとんをジャムがわりに)、味見に煮しめを食べてから三千歩ほど散歩。雪空だが歩いている間にぽかぽかしてきた。

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主演がドニーさんだから7時半からの回は30人ほど。ところどころで笑い声が起きる太っちょ刑事コメディ。ミッキーも初笑い。

ドニーさんは62キロ(ミッキーと同じ)から倍ぐらいに太ってしまう。理由は恋人にふられて、仕事はとある失敗から「証拠品管理」と座っているだけになってしまったから。

いつもの端正なお顔だちから一気に肉まんおじさんになってしまう。
素敵!から可愛い!になったドニーさんも大好き。

舞台は後半日本になるがどうも全部セットらしい。映画の始まりに東京タワーはセット撮影ですと断りがあったが「当然でしょう!」というシーンだったので、但し書きは無用と思った。

でも歌舞伎町や築地市場などにドニーさんがもしいらっしゃったら大きなニュースになるからこれらもセットと思う。

2020年・洋画ベストテン(順位なし)

🎬『ぶあいそうな手紙』アナ・ルイーザ・アゼベード監督、脚本/ブラジル/123分

ブラジル南部の街ポルトアレグレに暮らす78歳のエルネスト(ホルヘ・ボラーニ)は、隣国ウルグアイからこの地に移り住んで46年が経った。生来の頑固者で融通がきかない性格の彼もよる年波には勝てず、この頃では目がほとんど見えなくなっていた。だが勝手知ったる室内や散歩道は一人でどうにか動いている。掃除や料理は週1回、家政婦さんが来てくれている。

そんなある日、ウルグアイ時代の友人の妻から手紙が届くが、手紙を読むことのできないエルネストは偶然知り合ったブラジル人女性ビア(ガブリエラ・ポエステル)に手紙の代読と代筆を頼んだことがきっかけで部屋を与えて同居するまでになったが……。

ストーリーの鍵でもある若い女性は平気で小さな嘘をついたり、小金を失敬したりする子だが、根っこの部分では「自分を守るために必死の嘘や盗み」で、少なくともそれ以上のことはしない」とどこかで確信したエルネスト。

主人公エルネスト役をウルグアイ映画『ウィスキー』に主演した名優ホルヘ・ボラーニが演じる。ブラジル・サンパウロ国際映画祭批評家賞、ウルグアイ・プンタデルエステ国際映画祭では観客賞と最優秀男優賞を受賞。

🎬『ディック・ロングはなぜ死んだのか』ダニエル・シャイナート監督/アメリカ/100分

趣味程度のバンド仲間のジーク(マイケル・アボット・ジュニア)、アール(アンドレ・ハイランド)、ディック(ダニエル・シャイナート)は、練習と称してガレージに集まり、いつものように「馬鹿騒ぎ」をしていたが、その結果、ディックが突然死んでしまう。

驚いた二人はその時は意識不明のディックを病院の玄関に置き去りにして、様子を伺っていた。当然、一緒にいたのも隠していた。皆、顔見知りの小さな田舎町では、事件の噂がまたたく間に広がって、ディックは殺されたに違いないと捜査が始まって……。

まあ、観てくださいよとしか言いようがない面白さ。それに引退まじかの女警官と入ったばかりで見習いの女警官がとってもいい味出している。

★ ディックは嫌な奴、バカな男、あるいは男性器を指すスラング。

🎬『グランド・ジャーニー』ニコラ・ヴァニエ監督/フランス、ノルウェー/113分

14歳のトマ少年(ルイ・バスケス)は母パオラ(メラニー・ドゥーテ)とその恋人と暮らしていた。夏休みのトマはゲーム三昧の日々だった。そんなある日、母の仕事都合で南フランスで暮らしている実父のところに預けられる。

実父クリスチャン(ジャン=ポール・ルーヴ)は自然史博物館に勤めていて、軽量の飛行機を使って絶滅種の渡り鳥を救おうとプロジェクトの承認を上司に願い出ていた。上司はまともに取り合ってくれないので、必要な書類の印鑑をごっそり押してしまう。

そんなところにトマはクリスチャンの住む自然豊かな町・カマルグにやって来た。「渡り鳥と一緒に飛んで、安全な飛行ルートを教えるんだ」と嬉々として話すクリスチャンにトマはあきれるばかりだった。

ほぼCGなしというまるで奇跡が起こったような作品。体感する作品といってもいいと思う。

監督さんはジャック・ペラン監督のドキュメンタリー映画「WATARIDORI」の制作にも参加した鳥類研究家で気象学者のクリスチャン・ムレク。息子とともに実際に挑んだ超軽量飛行機の旅を映画化。

🎬『サンダーロード』ジム・カミングス監督、脚本、編集、音楽、主役/アメリカ/92分

テキサス州に住む中年の警官ジム・アルノー(監督さん)は妻とは別居していて小学生のひとり娘は両親の間を行ったり来たりしている。

そんな中でジムの母親が死亡。最愛の母親の葬儀で挨拶するために書いたメモを忘れて、しどろもどろでなんとか挨拶するが、母親が大好きだった歌をかけて自分が踊ろうとラジカセを持参したが、急に壊れてしまって、歌いながら踊るジム。

友人はお前らしい見おくり方だよと慰めてくれるが……。

ジムがやることなすこと皆裏目に出てしまう。彼の「大人になりきれない未熟なところ」が足かせとなっているが、家族や友人は彼の性格をもて余してはいるがとことん遠ざけたり嫌ったりしていない。「憎みきれない何か」に抗えない引力みたいなものを感じているようだ。

ジム・カミングスが監督、脚本、編集、音楽を担当して主演もしている。2016年のサンダンス映画祭でグランプリを受賞した短編を長編にして映画化。

🎬『フェアウェルl』ルル・ワン監督、脚本/アメリカ/100分

家族や親族から尊敬されている中国のおばあちゃん(チャオ・シュウチェン)が末期の癌と診断された。幼い頃に親と共にアメリカへ渡った作家志望の娘ビリー(オークワフィナ)は、家族が祖母に余命のことを言わないと決めているので猛反発する。

「お前はすぐ顔に出るからついて来なくてもいい、行くお金だってないでしょ」と母親から言われてしまう。しかし孫の中でも特に可愛がってくれて、時々する電話だけでもとっても喜んでくれるおばあちゃん。絶対に真実を言わないと約束させられて中国・長春に行くことにした。

中国各地から親族が集まるが、それをおばあちゃんに不思議がられないように、急遽、ビリーのいとこの嘘の結婚式をすることにした。誰しも「絶対告知しない」人ばかりの中で、これでいいのか……と自問するビリーだった。

最初「真実の嘘のお話」と出てきた。引き付けられるフレーズだ。

主役のオークワフィナさんはとても庶民的なお顔なのに、自分の考えや人の話を聞く時には(中国語が上手くないせいか)とても注意深くなって、それと同時に知性が滲み出てくる。理解してもらいたい、相手のことも理解したいという「人生において普遍的なこと」が丁寧に描かれていた。

🎬『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』タイラー・ニルソン&マイケル・シュワルツ監督/アメリカ

海辺で漁業権を持たずに蟹をとって細々と暮らしていた男タイラー(シャイア・ラブーフ)は、土地の漁師に見つかりこてんぱんに痛めつけられた。腹いせに漁師小屋に火をつけ、小さなボートで逃げようと沖に出た。

だがそのボートには1人の少年が隠れていたのだ。その少年ザック(ザック・ゴッツァーゲン)はダウン症の子で老人らと共に養護施設にいた子で自分はプロレスラーになりたいという強い希望があって施設を飛び出してしまったのだ。

養護施設ではことを公にしたくないので、少年の世話をしていた美しい女性エレノア(ダコタ・ジョンソン)行きそうなところを探すが……。

少年の顔や身体から出てくる自然のエネルギーにうたれた。たらたらとした白い布地の下着をつけているが、もっこりさんが布の中で何かを主張する様に息づいていた。変な意味ではない。何一つ隠していない様子に驚くと共に、この少年を見つけられたのは奇跡だと感じた。

タイラーはずっとついてくる少年を「知り合いでもないしついてくるな」と追っ払うが「友だちになればいいじゃないか」と食い付いてくる。そんないい加減な男が後半になって「今日は残りの人生の初日だぞ」と言って少年を励ますようになるのだ。タイラー役の方は『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』でマッケンローをやった俳優さん。

🎬『リチャード・ジュエル』クリント・イーストウッド監督/アメリカ/131分

96年、五輪開催中のアトランタで、警備員のリチャード・ジュエルが、公園で不審なバッグを発見する。その中身は、無数の釘が仕込まれたパイプ爆弾だった。多くの人々の命を救い一時は英雄視されるジュエルだったが、その裏でFBIはジュエルを第一容疑者として捜査を開始。

それを現地の新聞社とテレビ局が実名報道したことで、ジュエルを取り巻く状況は一転して……。

巨匠クリント・イーストウッドが、1996年のアトランタ爆破テロ事件の真実を描いたサスペンスドラマ。

ジュエルの母役キャシー・ベイツが大勢の記者たちの前で息子の無罪を訴える場面や「口を聞くな」と注意するがつい要らんことを言ってしまうジュエルを忌々しく見るサム・ロックウェルの表情が良かった。

🎬『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』クラウス・ハロ監督/フィンランド/95分

年老いた美術商オラヴィ(ヘイッキ・ノウシアイネン)は家庭も顧みないで画商の仕事一筋に生きてきた。大手の画商が幅をきかす時代になり、資金繰りもうまく行かず、もう店を閉める時期かと思う時もあった。

そんなある日、音信不通だった娘レア(ピルヨ・ロンカ)から、問題児の孫息子・オットー(アモス・ブロテルス)の「職業体験」という必須科目のため数⽇画廊を手伝わしてほしいと言ってきた。自分だけでもカツカツの生活や時間がない時に孫など預かれないと断ったが……。

監督さんは『ヤコブへの手紙』の方。穏やかな中、じんわ〜りと伝わって来て、そのじんわりさがずっと残っている名画(名画と絵をかけて)。

老父と娘の確執も老父と孫息子の関係も常識の範囲だし、距離感も頷ける。それでいて絵画業界の裏側、老画廊主(老父)の一枚の肖像画にかける情熱等々、納得させてくれて、そして感動も与えてくれた。

🎬『ナンシー』クリスティーナ・チョウ監督/アメリカ/86分

人付き合いが苦手で虚言癖のあるナンシー(アンドレア・ライズボロー)は、他人の関心を集めようと嘘ばかりついていた。ある日、彼女は5歳で行方不明になった娘を探す夫婦をテレビで見て、「娘が生きていたら、きっとこんな顔になっている」と想像したものが自分と似ていることに気付いて……。

クリスティーナ・チョウ監督の初長編作品。サンダンス映画祭で脚本賞を受賞しただけあって、娘であるかもしれないナンシーに探りを入れる夫婦との会話にも絶妙な「もどかしさ」が含まれていた。

ナンシーは嘘つきだが「嘘であっても居心地良さを一瞬でも感じていたい」という願望は、私たちが幸せを願望するのと違わないのではと思った。

彼女は、すぐに夫婦に電話をして「会ってほしい、自分があなたたちの子かもしれない」という。そして家に訪ねて行く。

夫にスティーヴ・ブシェミさん、妻(J・スミス=キャメロン)が信じ切っていくのを「冷静になって」と抑えていたが、ナンシーのある一言で父親も雲が晴れるように娘と信じる一瞬があった。親としてはたまらないシーン。この1シーンのために監督さんはブシェミを起用したのではと思った。


🎬『声優夫婦の甘くない生活』エフゲニー・ルーマン監督、脚本、編集/イスラエル/88分q

1990年、ソ連からイスラエルへ移民して来た中年夫婦のヴィクトルとラヤ(ウラジミール・フリードマンとマリア・ベルキン)は、ソ連ではハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦だった。

だが移民先のイスラエルでは声優の仕事がない現実に生活費も底について……。

旧ソ連圏から移民したエフゲニー・ルーマン監督が自身の体験を基に、ソ連からイスラエルに移民してきたロシヤ系ユダヤ人の声優夫婦を描いたヒューマンドラマ。

夫は違法なやり方で盗撮して吹き替え、妻は魅惑的なお声で……となるのだ。もうこれを見ないでベストテンは書けませんよと言いたいほど素敵な作品だった。
posted by ミッキー at 09:37| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする