2021年01月01日

明けましておめでとうございます。2020年・日本映画ベストテン(順位なし)

明けましておめでとうございます。
本年も体力、気力の続くかぎり毎日映画三昧いたします。

2020年は映画館、試写室、映画祭で321本、その他オンライン配信試写と映画祭で155本観ました。今のところ元気ですが、東京のコロナ患者が1300以上と聞いて雪空でブルッと寒気するより驚きました。来年もどうかよろしくお付き合いくださいませ。

2020年・日本映画ベストテン(順位なし/まとめきれていないので、後からの変更などはご容赦いただきたい)

🎬『メグ・ライオン』河崎実監督、脚本/52分

会社では女子社員から浮いていて嫌な仕事ばかり押し付けられている50代の冴えないOL・獅戸めぐ。今日も徹夜でやった仕事も取りやめとなってトボトボと歩いていたら、占い師から呼び止められて「今日と明日の変わり目にあなたの人生が変わる、ハイ、千円!」と言われいうがままにお金を払ってしまう。

だが、その真夜中、全裸のイケメン男・ジョナサンが現れ「あなたはキングライオン星の王女、銀河連邦100億個の星の王家の姫」とか「なんとお美しい、気品のあるお姿」と褒めちぎるられた。そして、ジョナサンの口づけによって「若い美女」に変身しためぐ。でもジョナサンはひどく驚いて、気持ちわるいとゲロを吐く始末……。

日本橋三越の2019年福袋企画で誕生した特撮ラブコメディ。日本橋三越で450万円で販売された「SFコメディ映画に主演できる」という福袋。お買いになったのは、一般女性の長谷摩美さん。もちろん彼女が主演。そして監督さんは河崎実。この監督さんで絶対忘れられないのが『日本以外全部沈没』そして『地球防衛未亡人』。福袋考案者さんもいい監督さんを選んだものだ。美醜が正反対の地球が面白い。素人さんの長谷さんもなかなかの演技者❗️

🎬『本気のしるし』深田晃司監督、脚本/228分

おもちゃ製作会社の営業マンの辻一路(森崎ウィン)は社内恋愛禁止なのに二股をかけている。女がほっておかない美男子といったところ。ある夜、辻は踏み切りで立ち往生していた車を運転していた葉山浮世(土村芳)の命を救う。それがきっかけで彼女との関係が異様な方向に進んで行って……。

深田晃司監督は2020年10月末日から開催される東京国際映画祭において特集が組まれている。いま注目の監督さん。

長いので休憩ありの上映だが、ここで「休憩」が仇になっている。3時間40分ぐらい一気見しないと緊張感が途切れる。休憩からも面白いが「これは映画だ」と妙に現実に戻ってしまい、休憩後はなかなか前の緊張感が戻ってこなかった。

映画はバカな男と異常な女の物語だ。イライラもヒヤヒヤもしたがその時の状態に「自分だったら、こう切り返すが……」と思いながら見るとなかなか面白いし興味津々に2人の行動を次、次、と追い「他人の不幸」をたっぷり楽しみながら作品にのめり込んだ。「休憩」が恨めしい作品だった。 

🎬『朝が来る』河瀬直美監督、脚本、撮影/139分

栗原清和(井浦新)と佐都子(永作博美)夫婦は数年不妊治療を受けていたが妊娠には至らず、もう諦めようとしていたところテレビ番組で「特別養子縁組」を知って、縁あって男の子を迎え入れる。朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」と名乗る女性から「子どもを返してほしい、それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってきて……。

原作は辻村深月のヒューマンミステリー小説。正直、今までの河瀬監督作品で気に入ったのはない。だがこの新作は違った。

毎日、かわいい息子との生活の中でも、子育ての苦労はある。他方、子を手放した少女にどんな暮らしが待っていたのか、どうして「子どもを返してほしい」と言ったのかが、現実的に描かれていた。

🎬『アイヌモシリ』福永壮志監督、脚本/日本・アメリカ・中国/83分

北海道阿寒湖畔のアイヌコタンでアイヌ土産店を営んでいる母親(下倉絵美)と暮らす14歳の少年カント(下倉幹人)は、アイヌ文化の中で育ったが1年前に父を亡くして以来、アイヌ行事と距離を置くようになっていた。中学卒業後は高校進学のため故郷を離れることを決心していた。

カントの父の友人だったアイヌコタンの中心的人物デボ(秋辺デポ)は、そんなカントをキャンプへ連れて行って自給自足の文化を語り、亡き父が手作りした見事なナイフをもらう。そして誰も来ない森に小熊をオリに入れて飼っていたのだ。何のために飼っているのかは教えてくれなかったが、餌を与える役目を任された。

アイヌの血を引く少年の成長を通して現代に生きるアイヌ民族の姿を描き、第19回トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した人間ドラマ。少年カントのいろんな表情がくっきりと目に残っている。当分、忘れそうにない。

監督さんは5年をかけて製作された本作。題名のアイヌモシリは、アイヌ民族の生活圏をアイヌモシリといい、モシリの「リ」は小文字。表記の使用は困難だが、これも独特な言語文化だろう。

★日曜に「ポツンと一軒家」?というテレビを偶然見ていて、北海道の森でフクロウの絶滅種を護るために活動している方が出ていた。そのフクロウは人に場所を明かさずまもっていた。きっとそのフクロウだと思うがこの作品の最後に、少年カントが空を凝視した先にフクロウが羽を広げた映像があった。

🎬『二人ノ世界』藤本啓太監督/104分

事故で首から下は自由がきかなくなった36歳の俊作(永瀬正敏)は年老いた父親(牧口元美)に面倒をみてもらっていた。父親は体の調子も良くなくヘルパーの助けもほしいと募集するが、汚い言葉で返答する俊作にみんなすぐにやめてしまう。困りはてた父親はラジオの相談室にヘルパー募集をお願いしたら、その数日後、突然、白い杖をついて目が見えない女性・華恵(土居志央梨)が訪ねて来た。

聞けばヘルパーの資格もないという。匂いでわかるのか、案内してとばかりに「病人の方はあちらですね」と俊作のそばに行って、顔をさわり「口は悪いようですが、美男子ですね」と言う華恵。「私、断られるのは慣れていますから」と言い帰って行った。

父親は「お前も見ただろう?雰囲気が母さんに似ていたな、今日は母さんの命日でもあるから何か縁があるかもしれん、様子を見てみようか」となった。

主演の永瀬正敏さんは正直あまり好みではないが、これはよかった。それ以上に土居志央梨さんは永瀬氏を上回って良かった。華恵も辛い過去があって涙なしでは見られなかった。2人の行き先は心配だらけだが、頭のいい華恵は家の中の位置を覚えて、料理も掃除もゆっくり正確にやり遂げていた。

🎬『一度も撃ってません』阪本順治監督/100分

市川進(石橋蓮司)はハードボイルド作家を気取っているが、今は時代遅れの作家。生活は元教師の妻がもらう年金だ。妻(大楠道代)とはまあまあの関係で市川には不満など言えない良妻だ。彼には親友・石田(岸部一徳)から「殺し」を請け負うというもう一つの顔があった。そんな時は彼自身はもっぱら標的の行動をリサーチするだけで、実際の殺しは今西友也(妻夫木聡)に頼んでいた。

名脇役・石橋蓮司さんの18年ぶりの主役映画。役どころは表の顔は売れないハードボイルド小説家でペンネームは御前零児、裏の顔は殺し屋の代理店!

そう、自分では殺らず本物のヒットマンに下請けにまわし、その顛末を根掘り葉掘り聞いて小説のネタにしているという74歳の男だ。家では元教師の妻(安田道代)や出版社の担当者(佐藤浩市)から軽く愛想づかしされている。

監督は1989年『どついたるねん』からほぼ毎年映画を作り続けてきた阪本順治。共演者には岸部一徳、豊川悦司、江口洋介、井上真央、柄本明、柄本佑、濱田マリ、そして「サマータイム」を気だるく口ずさむ桃井かおり……この個性的な面々が醸し出すえも言われぬ趣の中で、時にはコミカルに、時には哀愁を漂わせて、観ている者をスクリーンに誘い込んでくれる。

🎬『みぽりん』松本大樹監督、脚本/108分

地下アイドルグループの「Oh!それミーオ!」でセンターをする神田優花(津田晴香)はソロデビューする事が決まった。しかし、大きな声が出るが下手くそな歌唱力の優花の歌にプロデューサーの秋山(井上裕基)やマネージャーの相川(合田温子)は頭を抱えていた。そんな時に同じグループの里奈(m ay u)の知り合いでボイストレーナーのみほ(垣尾麻美)に指導してもらうことになって……。

このポスターは前からスコーレの入り口で見ていたが、H系と思い込んでいた。それに絵が微妙で気持ちが悪かったから足が向かなかった。でも、何回か驚いたし、笑ったし、なかなかの力作だった。お客さんは12 人ぐらいでほとんど男性客だったが女性も楽しめる作品。

それにしても音程外れの大音痴。声は張りのある大きな声だから余計に耳ざわりが良くない。でもきっとご本人の力量はあると見た。音痴を真似するぐらい難しいことはない。

★みぽりん先生の性格は大層ゆがんでいるが、レッスンをするのは六甲山ロープウェイ山頂の駅を降りて、そこから車で別荘地に行く場所にあった。ロープウェイに乗って行く別荘地なんて思っただけでも素敵で、夜景がよかった。

🎬『ロマンスドール』タナダユキ監督/123分

美大卒業後、ひょんなことからラブドール製作工場で働き始めた北村哲雄(高橋一生)は、本物のおっぱいの感触がわからず悩んでいた。会社も技術開発のためにおっぱいの手触りとかリアルさを売りにしたいと思っていて、女性経験のない北村と師匠である相川(きたろう)と協力して「医療のため」と偽って広告を出した。そこに美術モデルの園子(蒼井優)が応募してきて……。

『百万円と苦虫女』のタナダユキ監督が初のオリジナル小説を自ら監督・脚本を手がけて実写映画化。

静かな映画だがいつまでも深く心に残る映像や台詞があった。それらは観た方1人ひとり違うと思う。ラブドールの本物の手触りと、本当の手触りを求める「結婚生活」が相まっていく話に女性監督ならではの力量を感じた。

🎬『影裏』大友啓史監督/114分

今野秋一(綾野剛)は、会社の転勤で岩手・盛岡にきた。同年齢の同僚・日浅典博(松田龍平)と口を聞くようになった。慣れない地で知り合いもいない今野は日浅に誘われるままに映画や釣りなど一緒に行く間柄になっていく。

今野はそのおかげで新しい土地にも周りの人たちとも違和感無く過ごすことができるようになった。そんな平穏な日々だったが突然誰にも知らせずに会社を辞めた日浅に驚くばかりだった。

綾野剛も松田龍平も人気も実力もいまや押しも押されぬ大スターだ。特にこの作品をみて松田龍平の力量が幅を広げ、父・松田優作を越えたのではないかと感じた。風来坊的なちょい悪青年を力抜いてやっていた。その魅力的な台詞まわし、ひょろっとした風体、どこか遠く見ている目線。 時にはグサッと格言めいたことを呟く。

一方の綾野剛は行方不明の彼の故郷まで行って行方や本当の彼の姿を知る。「知る」ことは幸せには通じないが、そうしてでも彼にいろんな意味で執着があったのだろう。

🎬『酔うと化け物になる父がつらい』片桐健滋監督/95分

毎日毎日、酒におぼれる父(渋川清彦)と熱心な新興宗教信者の母(ともさかりえ)というちょっと変わった家庭で育ったサキ(松本穂香)は、普段はおとなしいのに酔うと化け物のようになってしまう父が理解できず、家族の崩壊を他人事のように漫画として笑い話にしながら生きていた。

そんなある日、父が病気になってしまい……。

原作は、アルコールにおぼれる父を持った菊池真理子の実体験に基づいたコミックエッセイ。どうしょうもない酔っぱらいのお父さんをやる渋川清彦さん。素に戻った時の情けないお父さん姿に哀れさより同情さえ感じた。本当はあまり飲めなかったが仕事上でやむなく飲み続けての結果でアル中になってしまったのだ。

★最後の最後まで冷静に観ていたが、終わりの1シーンで涙が溢れてしまった。
★酒の飲めない部下を演じた浜野謙太が良かった。  



posted by ミッキー at 06:31| Comment(0) | ベストテン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする