🎬『アイヌモシリ』福永壮志監督、脚本/日本・アメリカ・中国/83分
北海道阿寒湖畔のアイヌコタンでアイヌ土産店を営んでいる母親(下倉絵美)と暮らす14歳の少年カント(下倉幹人)は、アイヌ文化の中で育ったが1年前に父を亡くして以来、アイヌ行事と距離を置くようになっていた。中学卒業後は高校進学のため故郷を離れることを決心していた。
カントの父の友人だったアイヌコタンの中心的人物デボ(秋辺デポ)は、そんなカントをキャンプへ連れて行って自給自足の文化を語り、亡き父が手作りした見事なナイフをもらう。
そして誰も来ない森に小熊をオリに入れて飼っていたのだ。何のために飼っているのかは教えてくれなかったが、餌を与える役目を任された。
アイヌの血を引く少年の成長を通して現代に生きるアイヌ民族の姿を描き、第19回トライベッカ映画祭の国際コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した人間ドラマ。
少年カントのいろんな表情がくっきりと目に残っている。当分、忘れそうにない。まだご覧になっていないかた、是非映画館で観ていただきたい。
監督さんは5年をかけて製作された本作。題名のアイヌモシリは、アイヌ民族の生活圏をアイヌモシリといい、モシリの「リ」は小文字。表記の使用は困難だが、これも独特な言語文化だろう。
★パンフレットは5人ほど並んでいて時間が迫っていたので、きっともう一度見ると思って帰ってきた。
★日曜に「ポツンと一軒家」?というテレビを偶然見ていて、北海道の森でフクロウの絶滅種を護るために活動している方が出ていた。そのフクロウは人に場所を明かさずまもっていた。きっとそのフクロウだと思うがこの作品の最後に、少年カントが空を凝視した先にフクロウが羽を広げた映像があった。