🎬『朝が来る』河瀬直美監督、脚本、撮影/139分
栗原清和(井浦新)と佐都子(永作博美)夫婦は数年不妊治療を受けていたが妊娠には至らず、もう諦めようとしていたところテレビ番組で「特別養子縁組」を知って、縁あって男の子を迎え入れる。
朝斗と名付けられた男の子との幸せな生活がスタートしてから6年後、朝斗の産みの母親「片倉ひかり」と名乗る女性から「子どもを返してほしい、それが駄目ならお金をください」という電話が突然かかってきて……。
原作は辻村深月のヒューマンミステリー小説。正直、今までの河瀬監督作品で気に入ったのはない。だがこの新作は違った。
朝斗の実母(蒔田彩珠)は14歳、引き取る時に一度栗原夫婦に会っている。まだ少女の幼さが残った子という以外は印象の薄いシーンだった。
毎日、かわいい息子との生活の中でも、子育ての苦労はある。他方、子を手放した少女にどんな暮らしが待っていたのか、どうして「子どもを返してほしい」と言ったのかが、現実的に描かれていた。
🎬『キーパー ある兵士の奇跡』マルクス・H・ローゼンミュラー監督/イギリス、ドイツ/119分
1945年、イギリスの捕虜となったナチス兵トラウトマン(デビッド・クロス)は、イギリスのランカシャー収容所で終戦をむかえたが、すぐには故国ドイツには帰れなかった。
収容所でサッカーをしていた時に、キーパーの才能を地元チームの監督に認められ無理矢理、連敗続きでスポンサーから見捨てられそうな地元の試合に連れ出された。その試合はトラウトマンのおかげで勝利した。しかしナチスなんかと一緒に試合できるかと怒り出す選手もいて……。
イギリスの国民的英雄となった元ナチス兵のサッカー選手バート・トラウトマンの実話が基。
彼は名門サッカークラブのマンチェスター・シティFCにゴールキーパーとして入団するが、元ナチス兵という経歴から誹謗中傷を浴びせられてしまう。その凄まじい地元民の反発も「キーパー」の実力と自身の真摯な努力で次第に受け入れられていく様子が感動的に見せてくれた。
★サッカー場面より人間ドラマの部分に重きをおいて作られている。