🎬『望み』堤幸彦監督/108分
石川一登(堤真一)は新進の建築家。随所に工夫をこらした一軒家には、在宅で編集の仕事をする妻・喜代美(石田ゆり子)と2人の子どもの4人暮らし。
家の前庭は広く、太陽の陽がさんさんとふり注ぐ大きなガラス窓、同じ敷地には建築事務所があって建築家希望の青年が仕事の手助けをしてくれている。
心配ごとといえば、思春期の長女・雅(清原果耶)に少し手こずっているぐらい。そんな順風満帆の人生に陰りが差し込んだのは高校生の長男・規士(岡田健史)の怪我でサッカーをやめた頃からだった。
原作は「犯人に告ぐ」「検察側の罪人」が映画化された雫井脩介の小説。
突然姿を消した長男が高校生仲間の殺人事件に関係しているという疑いがかけられ、マスコミの餌食になってしまうお話。
去年、ミッキーの日本映画ベストテン1位の『よこがお』を思い出した。突然平穏な生活がガラガラと崩れていく様は誰しも他人事とは思えない作品だった。
一登の建てた「開かれた」家は幸せの象徴だったが、押し寄せるマスコミには好都合だ。
なんという皮肉だろう。この家族の受ける罵詈雑言は身近な仕事関係、近所、学校、インターネットと現代社会の複雑さや儚さを教えてくれた。
★建築工事会社の社長・渡辺哲、竜雷太が裏表両面で好演。
🎬『星の子』大森立嗣監督/110分
大好きなお父さん(永瀬正敏)とお母さん(原田知世)から愛情たっぷりに育てられたちひろ(芦田愛菜)だが、その両親は、病弱でアトピーがひどい幼少期のちひろを治したことがきっかけで新興宗教に入り熱心な信者になっている。
ちひろは学校にも特別の水を持っていったり、何か聞かれても臆することなく堂々としていて、親友も男友達もいる。そんなちひろが中学3年に新任のイケメン先生(岡田将生)に奇妙な宗教儀式をする両親を見られてしまって……。
さすが芦田愛菜ちゃん。芦田ではなくアシダマナちゃんと姓名ひとつづきで(ボケ進行中のミッキーも)出る。頭もいいし勘もいい子役とは言えないもう完璧に「女優」さんだ。と『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』を観た時の感想。
それから6年ぶりの『星の子』もさらに前作を上回る演技。でも正直に言うと「アシダマナちゃんが新興宗教に入れ込んでいる両親の子を健気に演じている」「アシダマナちゃん、それでも親友も気を許す男友だちもいる」「アシダマナちゃん、素敵!と思っている先生から嫌なことを言われた」等々、ミッキーの頭から芦田愛菜ちゃんが抜けない。すこぶる上手く演じているが「ちひろ」にはなっていなかった。
だから面白くない!などとは微塵も思ってない。芦田愛菜が主役だからこそ、映画館でなんの意味かわからない題名『星の子』のポスターの前で、立ち止まっている人をよく見た。
ミッキーが気に入っている子役がもう1人いる。『駅までの道をおしえて』『喜劇愛妻物語』今年12月公開予定の『ミセス・ノイズィ』の新津ちせちゃんがいるが、10年後、20年後(これは生きていないと思う)のお気に入りの2人がどういう女優さんになるかとても楽しみだ。
★映画としては最後どうなってしまうのか、そこのところを後ひと押ししてほしかった。