テキサス州に住む中年の警官ジム・アルノー(監督さん)は妻とは別居していて小学生のひとり娘は両親の間を行ったり来たりしている。
そんな中でジムの母親が死亡。最愛の母親の葬儀で挨拶するために書いたメモを忘れて、しどろもどろでなんとか挨拶するが、母親が大好きだった歌をかけて自分が踊ろうとラジカセを持参したが、急に壊れてしまって、歌いながら踊るジム。
友人はお前らしい見おくり方だよと慰めてくれるが……。

今日のメインは『お名前はアドルフ?』だったが、好みから言うと『サンダーロード』だ。
ジムがやることなすこと皆裏目に出てしまう。彼の「大人になりきれない未熟なところ」が足かせとなっているが、家族や友人は彼の性格をもて余してはいるがとことん遠ざけたり嫌ったりしていない。「憎みきれない何か」に抗えない引力みたいなものを感じているようだ。
★ ジム・カミングスが監督、脚本、編集、音楽を担当して主演もしている。2016年のサンダンス映画祭でグランプリを受賞した短編を長編にして映画化。
🎬『お名前はアドルフ?』ゼーンケ・ヴォルトマン監督/ドイツ/91分
ライン川のほとりに住む哲学者で文学教授のステファンと妻エリザベスは、弟トーマスと妊娠中の恋人、若い時に一緒に暮らしたこともある親友の中年男性で音楽家のレネを招いて自宅でディナーパーティーを開いた。
しかし、恋人の出産を間近に控えたトーマスが、生まれてくる子どもの名前を独裁者ヒトラーと同じ「アドルフ」にすると言ったことで大騒ぎ。

ドイツ語は冷静に説明されたり、裁判などで弁護されたりするときは説得力が発音と相まって「ドイツ語っていいな、理性的で整然としていそう」と感じるが、この映画ではまるで怒鳴っているような会話、強い語気の捨て台詞などで、針が刺さるような居心地の悪さを感じた。
大体ストーリーもわかっている……というつもりで見ていると「お名前がアドルフ」どころの騒ぎでなくなる。まあ、それは見てのお楽しみだ。
★小さい音の効果音が素晴らしかった。口に入れた食べ物を咀嚼する音、ワインをつぐ音、雨の音など小さい音が気持ちよく耳に届いていた。これは今まで感じなかったこと。